鉱工業指数

鉱工業指数とは

鉱工業指数（Indices of Industrial Production, IIP）は、日本をはじめとする各国で、鉱業や製造業といった鉱工業の生産活動を総合的に把握するために用いられる指標です。日本の鉱工業指数は、経済産業省が作成・公表しており、景気動向を判断する上で重要な役割を果たしています。

指数の概要

鉱工業指数は、鉱業や製造業における生産、出荷、在庫といった活動状況を総合的に示すものです。この指数は、経済産業省が実施する生産動態統計調査などの結果を基に作成される二次統計であり、国全体の生産活動を高い精度でカバーしています。また、速報性が高いことから、景気動向を早期に把握する上で重要な指標として利用されています。鉱工業指数は、景気動向指数の一致系列にも採用されており、経済分析や政策立案の基礎データとしても活用されています。

指数の種類

鉱工業指数には、主に以下の種類があります。

生産指数: 国内で生産された製品の量を表す指標で、付加価値額ベースと生産額ベースの2種類があります。一般的に、付加価値額ベースの指数が広く利用されます。
出荷指数: 国内で出荷された製品の量を表す指標です。ここでいう出荷とは、工場から製品が出荷された時点を指します。
在庫指数: 国内の製品在庫の量を表す指標で、月平均在庫と月末在庫があります。
在庫率指数: 在庫数量を出荷数量で割った在庫率を指数化したものです。
稼働率指数: 工場の生産能力に対する実際の稼働状況を示す指標で、確報時に公表されます。
生産能力指数: 工場の生産能力を指数化したもので、こちらも確報時に公表されます。

これらの指数の他に、速報発表の際には、製造工業生産予測指数も同時に公表されます。

製造工業生産予測指数: 一部の企業を対象に、生産見込みを調査した結果を指数化したものです。生産指数の速報が翌月末に発表されるのに対し、この指数は当月と翌月の予測値が発表されるため、より早く景気動向を把握するのに役立ちます。ただし、指数値自体は公表されません。

作成方法

鉱工業指数は、経済産業省が実施する生産動態統計調査を基に作成されます。この調査では、約600品目の生産量や出荷量などのデータが収集され、基準年の平均値を基に指数が算出されます。指数計算にはラスパイレス算式が用いられ、一部品目では金額を企業物価指数で実質化した後に指数化されます。また、各品目を統合する際のウェイトには、工業統計調査のデータが用いられます。

公表時期と時間

鉱工業指数の公表は、速報値が当該月の翌月末、確報値が翌々月中旬に行われます。また、年間の数値を確定させる年間補正は、翌年4月に公表されます。公表時間は、速報が午前8時50分、確報が午後1時30分です。

用語解説

年間補正: 生産動態統計調査に修正があった場合、その都度修正値を公表するのではなく、翌年4月にまとめて公表するものを指します。年間補正後の指数値は、原則として変更されません。
* 地域別鉱工業指数: 経済産業省の全国指数とは別に、各経済産業局や都道府県でも鉱工業指数が作成されています。これらの指数は、採用品目やウェイトの構成比が異なる場合があります。

鉱工業指数