銀河探査2100年 ボーダープラネット

銀河探査2100年 ボーダープラネット

『銀河探査2100年 ボーダープラネット』は、1986年8月24日に日本テレビ系列で放送されたテレビアニメであり、毎年恒例の『24時間テレビ 「愛は地球を救う」』内で紹介されました。手塚治虫の作品として知られ、彼の存命中に完成された最後のアニメとされています。この作品は、手塚プロダクションの協力を得て制作され、特に放送時間が逼迫しており、完成したのは放送直前の5分前という緊迫感がありました。

構成と音楽

作品は、主人公たちの若かりし頃の回想シーンから始まり、連続した3つのエピソードが進行し、最後にはエピローグがつくという独特な構成です。各エピソードでは異なるスタッフが関与し、それぞれの作風の違いが楽しめるオムニバス形式を採ります。また、物語の背景にはモーツァルトの「ピアノ協奏曲第23番」第2楽章がBGMとして用いられ、ストーリーの展開を引き立てています。

あらすじ

物語は、スバル、プロキオン、ミラという三人の子供時代に始まります。彼らは幼い頃から非常に仲が良く、誕生日のキャンディの分け方などを通じて、お互いを思いやる姿勢が描かれます。しかし、大学卒業後、プロキオンとミラは宇宙飛行士として新たな人生を歩み始め、スバルは静かに二人を見守ります。

結婚式の夜、プロキオンが宇宙船の救援に出向く中、彼は恐ろしいウイルスを発見します。このウイルスにわずか触れるだけで、彼の身体は次第に溶解していき、やがて死亡してしまいます。残されたミラもウイルスに感染の恐れがあり、彼女は冷凍睡眠に入ることになります。その間も、スバルはミラを救うためワクチンを探し、銀河中の惑星を巡ります。

物語の中で描かれるのは、特に興味深い三つの惑星でのエピソードです。まず一つは、農業用のコンピュータが肥料を求め人間を襲う惑星の話。次に、リアリティ番組のためにロケットを解体され、多くの人々が閉じ込められていた惑星で、新しいロケットを協力して作り上げる話。最後に、仲間の生命エネルギーを搾取されていることが分かった惑星エデンで、現地の青年と共にその工場を破壊しようとするスバルの冒険が描かれます。

探査を終えるたび、行動を共にしたスバルは眠っているミラのもとへ戻ります。彼は歳を重ねていく一方で、ミラは若いままです。やがてミラが冷凍睡眠から目覚めると、そこにはスバルそっくりの医師ゼンタがいました。ゼンタはスバルとミラの関係を断ってしまうのです。彼の手で作られたワクチンによってファクスされているミラとゼンタ。二人は次第に恋愛関係に発展します。一方、退院後にミラの前に現れたゼンタの両親こそ、老齢となったスバルと、閉じ込められていた惑星で出会ったミシェルだったのです。

キャストとスタッフ

キャストにはスバル役の富山敬や、ミラ役の勝生真沙子など、実力派声優が参加しました。監督・脚本・原案を手がけたのは手塚治虫で、他にも多くのスタッフが関与し、作品の完成度を高めました。特に音楽陣は、羽田健太郎や鈴木清司といったメンバーが充実したサウンドを提供し、作品を彩っています。

『銀河探査2100年 ボーダープラネット』は、友情、愛、そして冒険をテーマにした深いメッセージを持つアニメ作品であり、手塚治虫の遺産とも言えるものです。

もう一度検索