銭主

銭主とは

銭主（せんしゅ）は、中世日本における債権者を指す言葉であり、特に鎌倉時代末期から室町時代にかけての貨幣経済の発展と深く関連しています。この時代、農業や都市の発展に伴い、田畑や宅地の売買が盛んになり、米や銭の貸借を通じて金利が高く設定されるようになりました。実際、借金の返済ができない債務者は、田畑や宅地といった財産を担保に差し押さえられるといった事例も多く見られました。

時代背景と銭主の台頭

鎌倉時代においては「借上」と呼ばれる高利貸業者がすでに存在していましたが、室町時代に入るとその活動が活発化しました。都市部での土倉（貸金業者）や酒屋、さらには寺院が、年貢収入を得る武士や名主と共に借金の貸し出しを行うようになりました。この結果、債権者としての銭主の重要性が増していったのです。

利息と借金

当時の利息は月あたり五文子から八文子とされ、これは現在の利率として考えれば非常に高いものでした。負担が増す中で、借り手である負人は常に返済のプレッシャーに晒されていました。もしも返済ができなくなった場合、彼らは自らの田畑や宅地、あるいはその他の動産を失う危険性に直面していました。

徳政一揆と銭主への影響

このような経済環境の中で、借金に苦しむ人々が集まって徳政令を求める一揆、いわゆる徳政一揆が頻発しました。この一揆は、単なる財政的問題だけではなく、銭主に対しても大きな影響を及ぼしました。銭主に対する攻撃が行われることで、彼らもまた経済的圧迫を受けることになったのです。時には、銭主からの借り入れが返済できなかった場合、その貸借関係は無効にされることさえありました。

室町幕府の対応

この問題に対して、室町幕府は新たな制度を導入しました。銭主と負人の双方が、それぞれに貸借金額の1割から2割を幕府に納めることで、貸借関係の処理権を認める政策が採られました。これにより、例えば銭主が納めればその債権が保護され、負人が納めればその債務が破棄されるという二つの選択肢が与えられるわけです。この措置は、失われた土倉役や酒屋役といった収入を補填し、借金問題の解決策として機能しようとしたのです。

結論

銭主と負人の関係は中世日本の社会構造を反映しており、経済活動のあり方や当時の社会情勢を映し出しています。高利貸の活動や徳政令を求める一揆など、数多くの要因が絡み合った結果、銭主という存在は中世の日本社会において重要な役割を果たしました。

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