錐 (テレビドラマ)

韓国ドラマ『錐（きり）』

『錐』（原題：송곳）は、2015年に韓国のJTBCで放送された連続テレビドラマです。外資系大型スーパーマーケットを舞台に、労働組合の活動を巡る人間模様を描いた社会派ドラマとして、多くの視聴者の心に深く突き刺さりました。

あらすじ

物語の舞台は、2003年の外資系スーパーマーケット「フルミ (Fourmis) マーケット」のイルトン店。主人公であるイ・スインは、同店の野菜青果課長として働く元陸軍将校です。ある日、本社の指示で不当な人員整理を迫られたスインは、正義感からそれを拒否します。しかし、そのことがきっかけで会社からの圧力を受け、孤立を深めていくことに。

そんな中、スインは町の労働相談所所長であるク・ゴシンと出会います。ゴシンの助言を受け、スインは労働組合の支部を結成し、従業員たちのために会社側の不当な行為と闘うことを決意します。様々な困難に直面しながらも、スインは仲間たちと共に、労働者の権利を守るために奮闘していく姿が描かれています。

原作とモデル

本作は、チェ・ギュソクによる同名のウェブコミックが原作です。原作は、フランスの世界的企業カルフールの韓国支社である韓国カルフの労使問題を素材としており、主人公イ・スインのモデルは、韓国カルフ労働組合委員長であったキム・ギョンウク氏とされています。ただし、原作者は、本作がホームエバー闘争そのものを扱っているわけではないと述べています。

登場人物

イ・スイン： イルトン店の野菜青果課長。元陸軍将校。正義感が強く、不当なことには立ち向かう。
ク・ゴシン： プジン労働相談所所長。社労士。過去の拷問の後遺症に苦しみながらも、労働者のために尽力する。
チュ・ガンミン： 野菜青果課主任。フルミ労働組合イルトン支部の支部長となる。
ファン・ジュンチョル： 水産課主任。労働組合の組織部長となる。
ナム・ドンヒョプ： 野菜青果課職員。労働組合の教育宣伝部長となる。
ガストン・デュボワ： イルトン店店長。フランス本社から派遣されたフランス人。

ドラマの特徴

社会派ドラマとしての側面： 本作は、韓国社会における労働問題や格差問題に鋭く切り込んでいます。非正規雇用や不当解雇など、現代社会が抱える問題を描き出し、視聴者に深く考えさせる内容となっています。
リアリティのある描写： 労働組合の活動や労使交渉の様子などが、リアルに描かれています。労働者の苦悩や葛藤、そして連帯の重要性などが、生々しく伝わってきます。
* 豪華なキャスト： チ・ヒョヌ、アン・ネサンをはじめとする実力派俳優たちの演技が、ドラマに深みを与えています。それぞれのキャラクターの心情を丁寧に表現し、視聴者の共感を呼んでいます。

受賞歴

2016年、放送通信委員会主催の放送大賞で社会文化部門の優秀賞を受賞しました。

まとめ

韓国ドラマ『錐』は、労働問題という重いテーマを扱いながらも、人間ドラマとしての面白さも兼ね備えた作品です。現代社会を生きる私たちにとって、考えさせられる内容が多く含まれています。ぜひ一度、ご覧になってみてください。

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