錦繍山太陽宮殿

錦繍山太陽宮殿について

錦繍山太陽宮殿（クムスサンたいようきゅうでん）は、北朝鮮の首都・平壌の大城区域に位置する国家の重要な霊廟です。この施設は、金日成とその息子金正日の遺体を安置する目的で建設されており、その外観は宏大で宮殿のような造りをしています。ここは金日成が生前に活動拠点としていた錦繍山議事堂を改装したもので、1995年には「錦繍山記念宮殿」として開放されましたが、その後、2012年に「錦繍山太陽宮殿」と名称が変更され、現在に至っています。

外観とセキュリティ

この宮殿は、平壌市中心部から離れた大城山に向かう金星通り沿いにあり、厳重な警備によって囲まれています。正面と側面は水堀に囲まれ、背後は高い塀により守られています。金正日政権の末期まで位置は広く公表されておらず、地図にも記載されていなかったため、特異な場所として扱われていました。

設備と利用

館内は、金日成と金正日の遺体がそれぞれ『永生ホール』という特別な空間に安置されています。来訪者は四方から拝礼を行うことが求められ、立ち止まることは禁じられています。スマートフォンや金属類、危険物の持ち込みは厳しく制限されており、入場時にはX線による検査が行われます。また、遺体を撮影することも厳禁で、現地メディアの報道でもその姿はほとんど公開されていません。

宮殿内部には金日成や金正日の業績を称える展示や、各国から贈られた勲章、彼らが生前に使用していた車両の一部が展示されています。特に、使用していたメルセデス・ベンツの存在は注目されており、国家の象徴ともいえる存在感を放っています。

アクセスと参観

宮殿へのアクセスには専用の路面電車や動く歩道が設置されており、平壌市民は比較的多く訪れていますが、訪問者は長い列を作ることがしばしばです。特に、金正恩の指導者や外国の賓客は特別な節日には必ず訪れ、記念メッセージを残すことが通例となっています。また、一般観光客も事前に予約をすれば無料で参観可能で、正装を求められるため、訪問者には一定の規律が求められます。

さらに、宮殿は毎年5月と6月に休館し、毎週月曜日と金曜日も休館日となっています。このため、訪問のタイミングが重要であり、特に早朝の訪問が推奨されています。

批判と議論

しかし、錦繍山太陽宮殿の維持管理には膨大な費用がかかるという批判も存在します。ある経済史学者は、金日成の墓のために使われた資金が、過去の大飢餓の際に多くの命を救えた可能性があると指摘しています。このように、宮殿自体が国家の象徴である一方で、そこに投じられる資金の使い道についての議論も避けられません。

錦繍山太陽宮殿は、北朝鮮の歴史、文化、政治を理解する上で欠かせない重要な施設であり、その存在は単なる霊廟以上の意味を持ち続けています。

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