鍋島直昶

鍋島直昶の生涯と業績

鍋島 直昶（なべしま なおてる、1926年 - 2021年1月6日）は、日本のジャズ・ヴィブラフォン奏者であり、東京都世田谷区に生まれました。彼の家系は歴史的背景を持ち、肥前佐賀藩の10代藩主・鍋島直正が曽祖父にあたるなど、音楽だけでなく文化的な遺産が息づく家系です。

幼少期と音楽の道への興味

鍋島は1926年に東京都の荏原郡に誕生。父はヴァイオリニスト、母はピアニストという音楽家の家庭に育ち、早くから音楽に親しみました。彼は4歳でヴァイオリンの指導を受け、13歳になるとジャズ・ピアノの素晴らしさに惹かれ、独学でその道を追求し始めました。このような背景から、鍋島は音楽に対する強い情熱を持つようになったのです。

軍隊と大学生活

17歳で海軍航空隊に入隊し、戦後の復員後は慶応義塾大学に入学しましたが、音楽への情熱が勝り中退し、ジャズの世界に飛び込むことを決意しました。彼はドラマーとしてのキャリアをスタートし、さまざまなバンドで活躍しました。25歳のときには、仙台の米軍キャンプでエミール・リチャーズに出会い、2年間にわたりヴィブラフォンの指導を受けることになります。これが彼の音楽家としての進化を大きく促進しました。

関西への移住と活躍

1959年からは関西を拠点に活動を開始し、40歳を過ぎた頃には神戸市のクラブとの契約をきっかけに兵庫県へ移住しました。夙川の美しい景色に感銘を受け、西宮市に定住することとなります。1990年代には関西テレビの「ワンダラーズ」や「クロスファイアー」にレギュラー出演するなど、テレビを通じて一般の人々にも親しまれる存在となりました。

ゴールデン・シニア・トリオの結成

2008年には、関西ジャズ界の重鎮たちと「ゴールデン・シニア・トリオ」を結成しました。このトリオはファンの強い要望を受けて誕生したもので、2015年には「世界最高齢のバンド」としてギネスブックに認定されるという偉業を成し遂げました。また、2016年にはG7伊勢志摩サミットの晩餐会での演奏の機会を得るなど、国内外で広く活躍しました。

健康との戦いと引退

しかし、2018年には鍋島が動脈瘤を抱えることとなり、健康に影響が出始めました。彼はリハビリに取り組んで回復を目指しましたが、次第に身体の自由が利かなくなり、「ゴールデン・シニア・トリオ」の解散を決意。2019年10月のコンサートを最後に、その活動に区切りをつけました。

最期の時

鍋島は2021年1月6日に新型コロナウイルス感染症により、94歳でこの世を去りました。彼の生涯は、ジャズ界において多くの影響を与え、彼の音楽は今もなお多くの人々に愛されています。音楽家としての足跡と共に、その家系の歴史も大いに語り継がれています。

もう一度検索