鍋焼きラーメン

鍋焼きラーメンの魅力

鍋焼きラーメンは、高知県や秋田県で人気のあるご当地ラーメンで、特に高知県内のラーメン店で多く見られます。その名は、熱々の状態で提供されるため、鍋焼きの名が付けられています。スープは、親鳥の鶏ガラをベースにした醤油味が特徴で、あっさりながらも豊かな旨味を感じることができます。

歴史的背景

このラーメンの発祥は、戦後すぐの須崎市に遡ります。創業したのは「谷口食堂」で、店主の谷口兵馬氏が考案しました。当初は、出前の際の保温目的でホーロー鍋を使用したのが始まりです。その後、近隣の「みつだ食堂」が土鍋を初めて使用し、これは今や鍋焼きラーメンの標準となっています。

「谷口食堂」「みつだ食堂」「水野食堂」は、須崎市の鍋焼きラーメンの中でも特に有名な、いわゆる「老舗御三家」とされています。歴史的には、当時60円程度の価格で、銭湯帰りの人々に人気を博し、夜遅くまで開店していたため若者たちの憩いの場にもなっていました。

具材と特色

鍋焼きラーメンの大きな特徴は、スープだけでなく使用される具材にもあります。一般的なラーメンには見られない親鳥の肉、ねぎ、生卵、そして須崎市ではよく使われるちくわ（すまき）などがトッピングされます。特に親鳥は、硬めの肉質がもち味で、食べごたえがあります。また、スープは熱々で提供され、鍋から直接食べることで、より温かさを感じられるのです。

現在の動向

1980年に谷口食堂が閉店した後、常連客によってその味が受け継がれ、多くの店がオープンしました。2002年には須崎市の名物としてP.R.活動が行われ、「鍋焼きラーメンプロジェクトX」が発足しました。これにより、地域の飲食店では鍋焼きラーメンの家庭用セットや店舗での提供が行われており、近畿圏でも少数ですが楽しまれています。さらに、2013年には新横浜ラーメン博物館で期間限定の出店も行われ、数多くの人々にその魅力が伝わっています。

定義とルール

須崎商工会議所が定義した「鍋焼きラーメン」の基準には、以下のようなポイントがあります。スープは親鳥の鶏ガラを使用した醤油ベースで、麺は細ストレートで少し硬めである必要があります。また、具材には親鳥の肉、ねぎ、生卵、ちくわが入ることが重要とされています。さらに、スープが沸騰した状態で提供されること、古漬けのたくわんが添えられること、最後に「おもてなしの心」を大切にすることも求められています。

キャラクターと商品

「鍋焼きラーメンプロジェクトX」では関連キャラクターとしてなべラーマンやかわうそのカウちゃんが存在し、これには「やなせたかし」のデザインが使われています。また、しんじょう君というキャラクターも、鍋焼きラーメンをモチーフとした帽子を被ったデザインで親しまれています。さらに、須崎市では鍋焼きラーメンを形取ったタルトなどの関連商品も販売されており、観光客にも人気です。

このように、鍋焼きラーメンはただの一杯のラーメン以上の魅力を秘めており、その歴史や文化を持ちつつ今もなお愛されています。

もう一度検索