鎌倉将軍府

鎌倉将軍府について

鎌倉将軍府（かまくらしょうぐんふ）は、1333年に後醍醐天皇の建武の新政の一部として設立され、関東地方の統治を担当した機関です。実際には、関東の武士である足利氏によって運営されており、室町幕府の前身とも言える存在でした。導入される背景には、源頼朝が幕府を開いた鎌倉が武家社会にとって重要な地だったことがあります。

沿革

鎌倉では、源氏の血を引く武士たちが権力を握っており、武家政権の確立以降、特別な存在として扱われてきました。しかし、1333年5月に新田義貞が後醍醐天皇の倒幕運動に参加し、鎌倉へと攻撃をかけると、それまで支配していた北条氏は滅ぼされてしまいます。この動乱の中で、義貞は足利高氏（後の尊氏）を支持する千寿王（足利義詮）を受け入れて力を合わせ、鎌倉を制圧しました。

その後、後醍醐天皇の皇子である護良親王が一時的に征夷大将軍に任命され、足利高氏も鎮守府将軍に昇進し、尊氏に改名します。その後、北畠親房と北畠顕家親子によって陸奥将軍府が設立され、東国の武士を統率する役割を担いました。同年12月には、尊氏の弟である足利直義が鎌倉に拠点を設け、これが鎌倉将軍府の設立となりました。

設置当初は、建武政権が旧幕府の影響を排除しようとしたものの、関東の御家人たちの反発が強かったため、鎌倉将軍府には限られた権限しか与えられませんでした。その結果、旧幕府が保持していた侍所の機能を引き継ぐにとどまり、実質的には弱いものであったという見解があります。

1334年11月には、護良親王が尊氏により失脚し、鎌倉で幽閉される事態に至りました。建武政権の急激な改革に伴う混乱が続く中で、地方では北条氏の残党が活動を開始し、1335年7月には信濃の諏訪頼重らが北条氏の遺児である時行を擁立し挙兵します。時行軍は鎌倉へ向かって進軍し、鎌倉将軍府の軍勢を次々と撃破していきました。

鎌倉将軍府の瓦解

この状況を受けて、直義は護良親王の身柄が敵に渡ることを恐れ、彼を討ち取り、成良親王と共に鎌倉を脱出しました。この出来事によって、鎌倉将軍府は瓦解し、権力の移譲が進みました。その後、尊氏は後醍醐天皇の勅状を得ずに鎌倉を奪回し、再び独自に勢力を誇示しました。

尊氏はその後も戦闘を繰り返しながら、最終的には九州へ落ち、一時的に敗北しますが、湊川の戦いで新田と楠木正成らを破り、再び京都へと帰還したのです。これを機に、足利幕府は正式に権力を確立し、地方統治のために鎌倉府を設置しました。のちに足利義詮が鎌倉公方に就任し、その後も基氏の子孫がこの地位を引き継いでいくことになります。

総括

鎌倉将軍府は、建武政権の混乱期に成立したものの、その権力は短命であり、次第に関東地方における足利氏の力が優位に立つようになっていきました。歴史的には、鎌倉府の前身として重要な役割を果たしましたが、その影響力は一時的なものであったことがわかります。

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