鎌倉彫

鎌倉彫

鎌倉彫は、神奈川県鎌倉市を代表する伝統工芸品であり、その歴史と独自の製法で知られています。経済産業大臣によって指定された伝統的工芸品の一つです。

歴史

鎌倉彫の起源は鎌倉時代に遡ります。中国（宋）から陳和卿という人物が、彫漆の一種である堆朱の技術を日本に伝えました。堆朱は漆を厚く塗り重ね、それを彫刻して立体的な造形を作り出す技法です。しかし、鎌倉彫は堆朱とは異なる独自の発展を遂げました。

鎌倉彫は、仏師の康運（または康円という説もあります）によって考案されたと伝えられています。康運は、堆朱のような立体的なデザインの仏具を、より簡便に制作する方法を模索し、鎌倉彫の技法を生み出しました。

製法

鎌倉彫の製法は、堆朱とは大きく異なります。堆朱が漆を盛り上げて彫るのに対し、鎌倉彫は木地を彫刻した後、漆を塗り重ねるという手順を踏みます。具体的には、以下のようになります。

1. 木地の彫刻: まず、ホオノキやカツラなどの木材に、彫刻刀で模様や図柄を彫り込みます。この彫刻が、鎌倉彫の立体感と意匠の基盤となります。
2. 漆塗り: 彫刻された木地に、漆を丁寧に塗り重ねていきます。通常、黒漆を基本とし、その上に朱、青、黄などの色漆を重ねることで、豊かな色彩と深みを出します。
3. 研磨: 漆が完全に乾いた後、表面を研磨します。この研磨作業によって、色漆の層が微妙に現れ、独特の風合いが生まれます。

鎌倉彫の作品は、仏具から日用品、装飾品まで多岐にわたります。その意匠には、仏教的なモチーフのほか、花鳥風月など自然を題材にしたものが多く見られます。鎌倉の歴史と文化、そして職人の熟練した技術が融合した鎌倉彫は、日本の伝統工芸の美しさを今に伝える貴重な存在です。

関連情報

禅宗: 鎌倉彫は、禅宗寺院の仏具としても用いられ、禅文化とのつながりも深い。
鎌倉彫工芸館: 鎌倉彫の制作工程を見学したり、作品を購入したりできる施設。
鎌倉彫会館: 鎌倉彫の展示や販売が行われている。
鎌倉彫資料館: 鎌倉彫の歴史や技術について学べる。

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