鎖骨下筋

鎖骨下筋 (subclavius muscle)

概要

鎖骨下筋は、胸部の筋肉群に属し、胸腕筋の一つとして分類されます。鎖骨と第一肋骨を結びつけ、肩甲帯の安定に寄与する小さな筋肉です。

起始と停止

起始: 第1肋骨の肋軟骨接合部付近
停止: 鎖骨下面の中央1/3

走行としては、第1肋骨から上外側に向かって鎖骨下面に付着します。

神経支配

鎖骨下筋神経（腕神経叢から分岐）

作用

鎖骨下筋の主な作用は、以下の通りです。

鎖骨の引き下げ: 鎖骨を前下方に引き下げることで、肩甲帯を安定させます。
肋骨の挙上抑制: 呼吸時に第1肋骨が過度に挙上するのを抑制する可能性があります。

これらの作用は、肩関節の運動や姿勢の維持において重要な役割を果たします。

臨床

鎖骨下筋は、胸郭出口症候群(Thoracic Outlet Syndrome: TOS)との関連が知られています。鎖骨下筋の過緊張や異常によって、鎖骨と第一肋骨の間を通る神経や血管が圧迫され、肩や腕の痛み、痺れ、循環障害などを引き起こすことがあります。特に、腕を挙上する動作で症状が悪化することが多いです。

胸郭出口症候群の診断には、
アレンテスト
ライトテスト
ルーステスト
などがあります。

治療としては、理学療法や薬物療法、重症な場合は手術が検討されます。

解剖学的ランドマークとしての鎖骨下筋

鎖骨下筋は、鎖骨下動脈、鎖骨下静脈などの重要な血管の走行を把握する上で重要なランドマークとなります。これらの血管は、鎖骨下筋の前方および後方を走行し、上肢への血液供給を担っています。 また、腕神経叢も近接して走行しています。

その他の情報

鎖骨下筋は比較的小さな筋肉ですが、肩甲帯の安定や胸郭出口症候群との関連など、臨床的にも重要な意味を持つ筋肉です。解剖学的な位置関係を理解することで、肩や腕の痛みの原因を特定し、適切な治療を行うことができます。

参考文献

解剖学書
整形外科学書
臨床医学論文

関連項目

胸
解剖学/人間の筋肉の一覧

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