鎮川の戦い

鎮川の戦い：朝鮮戦争初期における激戦

鎮川の戦いは、1950年7月、朝鮮戦争の初期段階で、韓国軍と北朝鮮軍との間で繰り広げられた重要な戦闘の一つです。韓国軍の首都師団が中心となり、北朝鮮軍の第2師団と激突しました。この戦いは、戦況の推移において重要な転換点となりました。

戦闘の背景

1950年7月5日、韓国軍の首都師団は、成歓と天安で再編成を行っていました。その翌日、第1軍団は首都師団に対し、鎮川への急派を命令しました。これは、北朝鮮軍の第2師団が、韓国軍第6師団第19連隊を圧倒し、鎮川に迫っていたからです。首都師団は迅速な対応を迫られました。師団長の李俊植准将は、到着した第1連隊を鎮川北側の白谷川に配置し、防御陣地を構築させました。

一方、北朝鮮軍第2師団は、春川での戦闘で受けた損害を補充し、兵力1万2000人、T-34戦車10両、SU-76自走砲12門、122ミリ榴弾砲26門などの重装備を備えていました。7月7日には、先遣隊が鎮川北側の松林里にまで進出していました。

戦闘の経過

7月7日、北朝鮮軍第2師団は、鎮川に先遣されていた第1連隊第2中隊を圧倒し、鎮川南側4キロの所乙山一帯に進出しました。師団長が金錫源准将に交代すると、彼は直ちに師団主力を率いて北上しました。翌8日朝には、首都師団が文案山を確保しました。第1連隊がチャ峠で整備している間、第8連隊と第18連隊が到着し、首都師団の戦力は増強されました。

金錫源准将は、第20連隊に院徳里高地の奪還を命じ、第16連隊は九谷里に配置して師団の右翼を掩護させました。しかし、第20連隊は高地を完全に占領できず、翌9日午前4時頃から始まった北朝鮮軍の逆襲で大きな損害を受け、所乙山東側に後退しました。

7月9日、北朝鮮軍主力は南下し、首都師団の陣地に迫りました。金錫源准将は全軍に攻撃を開始させました。左翼の第17連隊は所命の高地を奪取し、右翼の第16連隊は鎮川東北郊まで進出しました。中央の第1連隊は砲兵の支援を受けて烽火山を奪取しましたが、北朝鮮軍の反撃により奪い返されました。また、北朝鮮軍は文案山の第18連隊にも攻撃を加えました。

7月10日午前2時頃、北朝鮮軍の攻撃が開始され、左翼の第17連隊、右翼の第16連隊で激戦が繰り広げられました。しかし、兵力で勝る北朝鮮軍に包囲され、首都師団は中央の文案山と所乙山を辛うじて確保している状況でした。

7月11日未明、北朝鮮軍の主力は柏谷川河畔を突破し、首都師団の右側背に迫りました。金錫源准将は第18連隊に文案山正面を攻撃させましたが、兵力差は如何ともしがたく、戦車5両が所乙山の第1連隊背後に回りました。これにより、金錫源准将は清州への後退を命じました。首都師団は美湖川の橋を爆破して清州北側で態勢を立て直しました。北朝鮮軍は追撃を試みましたが、米軍のB-29とB-26による爆撃を受け、大きな損害を被りました。

両軍の部隊編成

韓国軍

第1軍団
軍団長：金弘壹少将
首都師団
師団長：金錫源准将
第1連隊：李喜権中領、尹春根中領（7月15日から）
第8連隊：李賢進中領
第18連隊：任忠植大領
第16連隊：文容彩大領
第20連隊：朴基丙大領
第17連隊：金熈濬中領（連隊長代理）
機甲連隊：劉興守大領
軍団第2砲兵中隊：金燦福大尉

北朝鮮軍

第2軍団
軍団長：金光侠中将（7月10日から武亭中将）
第2師団
師団長：崔賢少将

戦いの影響

鎮川の戦いは、首都師団が戦力で劣る中で、勇敢に戦った戦いでした。しかし、北朝鮮軍の圧倒的な兵力と装備に押され、首都師団は後退を余儀なくされました。この戦いは、朝鮮戦争初期における韓国軍の苦戦を象徴する出来事の一つであり、戦後の戦訓分析において重要な教訓を提供しました。また、この戦いをきっかけに、韓国軍の装備や戦術の近代化がより一層進められることとなりました。

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