長七谷地貝塚

長七谷地貝塚：縄文時代の息吹を伝える遺跡

長七谷地貝塚は、青森県八戸市市川町長七谷地に位置する、縄文時代早期の貝塚および集落跡です。1981年5月25日に国の史跡として指定され、縄文時代の生活や文化を研究する上で重要な資料を提供しています。

発見と調査

この遺跡は、1958年に慶應義塾大学の江坂輝彌氏と青森県文化財専門委員の音喜多富寿氏によって初めて調査されました。その後、桔梗野工業団地の建設に伴い、1977年から1979年にかけて遺跡の保存整備事業として大規模な発掘調査が行われました。これらの調査によって、長七谷地貝塚が縄文時代早期後半の赤御堂式土器を中心とする遺跡であることが判明しました。

遺跡の特徴

長七谷地貝塚からは、貝塚、土器、竪穴建物跡などが検出されています。貝塚の主要な貝の種類は、ハマグリが最も多く、その他にオオノガイ、エゾイソシジミ、ヤマトシジミなどが含まれています。貝層の厚さは平均40～50センチメートルですが、建物内貝層は最も厚く111センチメートルに達します。このことから、当時の人々が貝を食料としていたことや、集落内での貝の利用状況をうかがい知ることができます。

出土品

長七谷地貝塚からは、多種多様な遺物が出土しています。主な出土品は以下の通りです。

赤御堂式土器: 縄文条痕系統の尖底土器で、縄文時代早期の土器の特徴を示しています。
石器: 石鏃、石槍、石斧、石匙、トランシェ様石器など、狩猟や採取、調理に使用された様々な石器が出土しています。
石製品: 石皿や磨石など、生活用具として使用された石製品が見つかっています。
土製品: 土偶や土版など、祭祀や儀式に使用されたと考えられる土製品が出土しています。
骨角器: 結合釣針や開窩式銛頭など、漁撈に使用された骨角器が多数出土しています。これらの骨角器は、当時の漁撈技術の高さを物語っています。
貝類: ハマグリ、オオノガイ、エゾイソシジミ、ヤマトシジミなど、食料として利用された貝類が大量に出土しています。
魚類: マダイ、スズキ、イワシ、サケ、ヒラメなど、様々な魚の骨が出土しており、当時の漁撈の対象となっていた魚の種類を知ることができます。
鳥類: カモやシギなど、狩猟の対象となっていた鳥類の骨が出土しています。
哺乳類骨: シカ、ツキノワグマ、ウサギなどの骨が出土しており、当時の狩猟の対象となっていた動物を知ることができます。
尖底深鉢形土器: 貯蔵や煮炊きに使用されたと考えられる土器です。

遺跡の保存と活用

長七谷地貝塚は、国の史跡として指定されており、その保存と活用が図られています。遺跡周辺は公園として整備され、一般に公開されています。また、八戸市博物館では、長七谷地貝塚から出土した遺物が展示されており、縄文時代の生活や文化に触れることができます。

まとめ

長七谷地貝塚は、縄文時代早期の生活や文化を研究する上で非常に重要な遺跡です。出土品や遺跡の状況から、当時の人々の食生活、狩猟や漁撈の技術、祭祀や儀式など、様々な側面を知ることができます。八戸市を訪れた際には、ぜひ長七谷地貝塚を訪れ、縄文時代の息吹を感じてみてください。

もう一度検索