長居オートレース場

長居オートレース場：短命に終わった大阪の競争

長居オートレース場は、大阪府大阪市東住吉区に存在した、短い歴史に幕を閉じたオートレース場です。1951年11月1日、関西圏で園田オートレース場に次ぐ第二の場として期待を込めてオープンしました。しかし、その運命はわずか5ヶ月で終わることになります。

当初、大阪府は新たなオートレース場建設を目指していました。しかし、予算上の制約から計画は頓挫。代わりに、当時好調だった大阪中央競輪場が隣接する長居競馬場との併設案が採用されました。競馬場、競輪場、オートレース場の相乗効果による経済効果に期待が集まりました。

しかし、蓋を開けてみれば、結果は芳しくありませんでした。1951年11月の初開催は、期待をはるかに下回る惨憺たるものでした。長居競馬場、さらには当時ブームだった競輪の売り上げにも届かないほど低迷し、赤字経営に陥りました。

1952年1月には運営体制を刷新し再スタートを切りましたが、売り上げは初開催をさらに下回る結果に。4月の開催も低迷は深刻さを増すばかりでした。

経営状況の悪化に加え、長居オートレース場は深刻な問題に直面しました。近隣の小学校PTAを中心に、オートレース場からの騒音問題がクローズアップされたのです。住宅地に近接した立地が、騒音問題を招いた原因でした。住民からの抗議は地域全体に広がり、大きな社会問題に発展していきました。

これらの問題が重なり合った結果、1952年4月、長居オートレース場は閉鎖されました。わずか5ヶ月という短命な歴史に終わりを告げたのです。これはオートレース場において、最短期間での廃止という記録となっており、騒音問題が廃止の直接的な原因となった唯一のケースとして、今も記憶されています。

長居オートレース場の失敗は、単なる経営判断のミスだけでなく、地域社会との調和の重要性を改めて示す事例となりました。計画当初の期待感とは裏腹に、経済的な成功と地域社会の共存という、相反する要素のバランスがうまく取れなかったことが、その短命の原因と言えるでしょう。成功への期待と挫折の物語は、現在、オートレースの歴史の中で重要な教訓として語られています。

参考文献

日本小型自動車振興会『オートレース三十年史』（1981年）

外部リンク

JKA：オートレース公式年表

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