長岡輝子

長岡 輝子（ながおか てるこ）

日本の女優・演出家として知られる長岡輝子は、1908年1月5日に岩手県盛岡市に生まれ、本名は篠原輝子です。彼女は、英文学者の長岡擴の三女として育ち、東洋英和女学院で学びました。

教育と留学

長岡輝子は、文化学院の文学科に進むも中退し、その後聖心語学校に転校します。1928年、彼女はフランスに渡り、パリで2年間演劇を学びました。1930年には日本に帰国し、アトリエ座研究所での学びを経て、当時の学生と共に劇団テアトル・コメディを設立しました。ここでの活動を通じて、彼女は舞台芸術の基盤を固め、次第に自身の演劇に対する情熱を育てていきました。

結婚と家庭

最初の夫は劇団の共同設立者である金杉惇郎でした。二人の間には、後にNHKプロデューサーとなる息子が生まれましたが、1937年に金杉が他界。彼女は、戦時下の厳しい状況のなかで、活発に舞台活動を行いながらも、家庭のことにも目を配っていました。

劇団と活動の広がり

1939年には文学座に参加し、自らの作品『マントンにて』を公演して演出も手がけました。1944年に実業家の篠原玄と再婚し、戦後は文学座と劇団「麦の會」にも籍を置き、演出や演技の幅を広げていきました。1951年から女優として本格的に活動を始め、演出家としてのキャリアも両立させました。

テレビと映画への進出

1959年、長岡輝子はNHKの子供向け番組「おかあさんといっしょ」に出演して広く知られるようになりました。また、1964年にはウェスカー作の『大麦入りのチキンスープ』で文部省芸術祭文部大臣賞を受賞し、その後も数多くの舞台や映画に登場します。1984年に放映されたドラマ『おしん』では、加賀屋の大奥様役を演じて一般視聴者からも強く支持されました。

晩年と受賞歴

晩年には朗読活動に力を入れ、特に宮沢賢治の作品を岩手弁で読んだり、聖書の朗読に取り組むなど新たな挑戦を続けました。2003年にはその功績が認められ菊池寛賞を受賞し、さらには、聖書朗読における功績でも表彰されました。

2010年10月18日、東京で102歳の生涯を閉じました。彼女は日本の女性芸能人の中で最高齢の存在でした。縁のあった多くの人々に愛され、舞台からテレビ、朗読に至るまで、その多彩な活動で日本の演劇界に大きな足跡を残しました。

家族と親族

長岡輝子の家族には、父の長岡拡や母の長岡栄子、更に多くの兄弟姉妹がおり、その中でも彼女の活動を支える存在となりました。プロデューサーとなった息子は、彼女の芸術活動における理念や方向性を受継いでいったと言われています。在命中、彼女は家族を大切にし、家族とのつながりを深めながら自らの芸術を追求し続けました。

長岡輝子の素晴らしい人生と業績は、今でも多くの人々に語り継がれ、彼女が愛した舞台や朗読の数々は、次世代の演劇人たちにも影響を与えています。

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