長崎電気軌道160形電車

長崎電気軌道160形電車の歴史

長崎電気軌道160形電車は、1958年に長崎電気軌道が西日本鉄道から譲り受けた木造ボギー車です。現在、日本最古の車両として1911年に製造された168号が残っており、鉄道ファンの間で注目されています。

譲渡の背景

長崎電気軌道が160形を導入したのは、2軸の単車を置き換えるためでした。譲渡元は西鉄福岡市内線の木造ボギー車100形で、13両が長崎に移籍しました。この車両は、明治末期から大正にかけて製造された九州電気軌道の木造ボギー車1形や35形に由来し、当時は九州地方で活躍していました。長崎電気軌道では、これらの車両を160形および170形と分類しました。

性能と特長

北九州線向けに設計されたため、160形は車輪径が838mmと大きく、最高速度は55 km/hに達する優れた走行性能を持っています。しかし、長崎では停留所間の距離が短いため、その性能を最大限に発揮することが難しかったとされています。1970年代には、ワンマン運転の導入や老朽化が進み、600形や700形などの新しい車両に remplacé されていきました。170形は1976年に形式が消滅し、160形の大部分も1973年までに廃車される運命でした。

動態保存された168号

最後まで残ったのは162号と168号でしたが、162号は1978年に廃車となり、168号が動態保存車両として整備されました。168号は外装の改修を受け、緑一色に塗装されたり、重要部検査が行われたりと、歴史的な車両としての保存に配慮がなされています。特に驚くべきは、168号が被った風雨や時間の経過にも関わらず、長崎電気軌道の開業70周年に際し、大規模な改修工事が行われ、現在も運行可能な状態を保っている点です。

特徴的な運行方式

長崎電気軌道の他の車両とは異なり、168号は昭和時代の名残を強く残しています。冷房装置はなく、手動式の操作を行うなど、昔ながらの姿勢で運行されます。運転士と車掌が協力し合得る、昔ながらの信鈴を使ったコミュニケーション方法も特徴的です。これは、長崎電気軌道の歴史を体感できる貴重な機会となっています。

現在の役割

168号は通常の営業運転からは退いたものの、特別なイベントや観光客向けの列車として使用されています。特定の日時には一般の乗客に対して運行されることもあり、多くの人々に親しまれています。実際に、2023年には製造から100年を迎え、その歴史を感じる貴重な動体保存車として注目されています。

終わりに

長崎電気軌道160形電車は、そのユニークな歴史を持ち、現在も多くの人々に愛され続けています。日本最古の木造ボギー車としての役割を果たしながら、昭和の時代を彷彿とさせるその姿は、長崎の鉄道文化の象徴でもあります。長崎を訪れる際には、是非この貴重な電車を体験してみてはいかがでしょうか。

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