長崎電気軌道360形電車

長崎電気軌道360形・370形電車

長崎電気軌道の360形電車は、1961年に登場した路面電車の車両です。この車両は、老朽化が進んでいた木造車両の後を引き継ぐために、生まれました。360形だけでなく、外観と性能がほぼ同様の370形も同時に製造されたため、本記事ではこの両形式について詳しく解説します。

登場の背景

360形と370形の車両は、木造の2軸単車およびボギー車の160形・170形の代替として、全金属製の2軸ボギー車として製造されました。1961年に7両が製造された後、1962年に370形も7両が作られました。当初、1961年からの3年間で合計21両の増備が計画されていましたが、経営の悪化により、1963年に予定されていた追加の製造は実現しませんでした。

360形の特徴

360形は、1961年11月に日本車輌製造で製造されました。形式名は製造年の和暦にちなみ、「360形」とされています。この車両は、在来車両の300形を基にしつつも、全金属製の車体や張り上げ屋根を採用したスタイルが特徴です。特に、前中扉の窓配置（D4D3）や屋根肩部のデザインに工夫が施されています。正面の中央窓は固定式ですが、左右の窓は開閉式で、通風性も考慮されています。

営業運転には1961年12月9日から投入され、以降長崎の街を走る姿が見られました。360形はまた、視認性の高い行先表示器やアルミサッシを用いた窓構造など、当時の新機軸を取り入れた先進的なデザインも魅力です。

370形の改良点

370形は1962年に製造され、360形の増備車として登場しました。基本的な構造は360形に準じていますが、追突事故の教訓を生かし、バンパーや台枠が強化されています。さらに、通風孔の設置や行先表示器のサイズの拡大が行われ、外観の改善が図られました。台車も新たに日車製のコイルばね台車に変更されており、運転性能にも配慮されています。

事故とその影響

導入から間もない1962年7月8日、360形363号が無人で逸走し、新大工町で先行していた360形365号に追突してしまいました。この事故では12名が負傷するという重大な結果となりました。事故後、該当車両は修理を受け、行先方向幕が370形に合わせて改められました。

改造と進化

その後、1968年から1977年にかけて370形のワンマン化改造が進められました。自動ドア化や正面中央窓の一部開閉化など、さまざまな改良が施されています。1981年には370形372号に初めて冷房装置が導入され、以降、他の車両にも普及しました。

1985年には360形の正面行先表示器が大型化・自動化されました。また、370形にも同様の改造が実施され、最新の技術が導入されています。

現在の状況

2019年4月現在、60形と370形の車両はそれぞれ7両、6両が現役で運用されています。367形と374形は特に注目され、広告車両としての役割も果たしています。長崎電気軌道は、歴史と共に発展を遂げるこれらの車両に今後も注目が集まるでしょう。

長崎の路面電車360形と370形は、改良を重ねながら長い歴史を持ち、地域の交通手段として重要な役割を果たしています。未来にも、そのかっこいい姿を見続けることができると期待されています。

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