長崎駅殺人事件

長崎駅殺人事件

『長崎駅殺人事件』は、西村京太郎による長編推理小説であり、1991年に光文社から刊行されました。この作品では、十津川警部がスコットランドヤードから派遣された刑事と協力して事件に挑むという、異色の展開が特徴です。

ストーリー

元スコットランドヤードの敏腕警部であり、現在は超人気推理作家として名を馳せるビクトリア・ヘイズが、取材旅行のため日本へやってきます。彼は、自身の代表作である「ハートリィ・シリーズ」の次回作の舞台として長崎を選び、その地で新たな物語を紡ぎ出そうとしていました。

しかし、来日直前、ヘイズのもとに「WRP」と名乗る謎のテロ組織から「ヘイズを日本によこすな」という脅迫状が届きます。「WRP」…その正式名称は「World Revolution Party」。ヘイズ自身が小説を盛り上げるためのスパイスとして創造した、架空の犯罪組織のはずでした。その組織からの脅迫に、警視庁は騒然となりますが、ヘイズ本人が来日を強く希望したため、国際親善という名目のもと、警視庁が彼の来日を全面的にサポートすることになります。

そして、ヘイズの来日当日。成田空港には、ヘイズとその妻である信子・ヘイズ、そしてヘイズ自らが要請したというスコットランドヤードの敏腕刑事、ジェイソン・ケンドリックス警部が降り立ちます。信子・ヘイズは、旧姓を酒井信子といい、かつて警視庁に勤務していた刑事でした。現役時代にヘイズが来日した際に出会い、三ヶ月の交流を経て結婚に至ったという経緯があります。

ヘイズ夫妻と、彼らを警護する警視庁の十津川班、そしてケンドリックス警部一行は、寝台特急「さくら」で長崎へと向かいます。しかし、列車が小郡に到着した時、予期せぬ事態が発生します。警備陣の一瞬の隙を突かれ、信子夫人が誘拐されてしまったのです。

そこから、オランダ村特急や長崎駅を舞台に、テロ組織との壮絶な戦いが始まります。十津川警部とケンドリックス警部は、それぞれの立場から捜査を進め、事件の真相を追い求めていきます。

登場人物

警視庁捜査一課

十津川省三
亀井定雄
西本明
清水新一
北条早苗
三上刑事部長
本多時孝

スコットランドヤード

ジェイソン・ケンドリックス - 2メートルを超える大男の刑事。十津川班に対し尊大な態度を取る。

事件関係者

ビクトリア・ヘイズ - 刑事出身の超人気推理作家。
信子・ヘイズ - 旧姓酒井信子。元警視庁の刑事で、現在はヘイズの妻。主要な登場人物だが、本編でのセリフはほとんどない。
久保敬 - やまと出版の出版部部長。ヘイズの著作の日本語版を取り仕切っている。
安藤みや子 - 女性週刊誌「メイクアップ」の記者。
小磯雄太郎 - 推理作家
ジョーン・ハザウェイ - イギリスの新聞社の特派員。
マイケル・クライトン - アメリカ大使館の職員。ヘイズのファン。

World Revolution Party

スタイナー - テロの実行犯。
安西みどり - スタイナーの愛人であり、共犯者。

関連項目

蝶々夫人 - 長崎を舞台とした作品であり、ヘイズが作品のモチーフとして使用した。
* ストラトフォード - 謎を解く鍵となった地。ちなみに十津川はシェイクスピア・ホテルに宿泊した。

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