長徳寺 (恵那市)

長徳寺（ちょうとくじ）

長徳寺は、岐阜県恵那市長島町久須見に位置する曹洞宗の寺院です。本尊は釈迦如来で、山号を巨福山と称します。恵那三十三観音霊場の32番札所として、地域の人々に親しまれています。中津川市千旦林にある大林寺の末寺にあたります。

歴史

長徳寺の歴史は、「長徳寺略記」によると、慶安元年（1645年）に久須見の村人が草庵を改築したことに始まります。この時、大林寺の三世である徳外玄隆和尚を迎えて開山しました。その後、延宝3年（1675年）には、三世の祖山天秀の代に草庵が新築されました。

寛保2年（1742年）には、七世の暁童𣴎天の時代に寺が火災で焼失しましたが、宝暦4年（1754年）に再建され、入仏式が執り行われました。このように、長徳寺は幾度かの困難を乗り越え、現在に至っています。

白山妙理権現

長徳寺には、白山妙理権現にまつわる特別な歴史があります。久須見村の郷士であった町野助右衛門は、白山妙理権現を篤く信仰していました。助右衛門の孫である長八郎は病を患い歩行困難でしたが、助右衛門は医薬を求めて奔走しました。町野家の乳母であるりていは、医薬の効果がないならば神に祈るしかないと考え、比丘尼塚に白山妙理権現を祀る草庵を建て、長八郎の平癒を祈願しました。しかし、元禄2年（1689年）に長八郎は亡くなり、りていも間もなくその後に続きました。

その後、110年以上にわたり白山妙理権現は祀られることがありませんでした。しかし、村人が山に入ると病気になるという出来事が起こり、白山妙理権現の祟りではないかと噂されるようになりました。このため、長徳寺の十世である津梁黙要和尚に相談し、長徳寺に神殿を建立して祀ることになりました。その後、村人たちから「一番高いところに祀ってほしい」との要望があり、明治初年に14世の蘊性仙輪和尚の時代に穴の山の高所に祀られました。しかし、その後、白山妙理権現は村人たちから忘れ去られてしまいました。

この由来を知った十八世の守拙大巧和尚は、昭和26年（1951年）12月1日に穴の山から白山妙理権現を再び長徳寺に迎え、管長を招いて盛大な供養法要を行いました。古くから、医薬が効かない病気の者は白山妙理権現を参詣すると良いと伝えられており、現在も多くの人々が訪れています。

関連寺院

大林寺 （中津川市）

参考文献

『恵那市史』　 通史編　第2巻　第八章　江戸時代の社会生活と文化 第二節　社寺と文化　二　仏教と寺院 長徳寺　p1054～p1056　1989年
* 『恵那郡史』　 第八篇　現代　第四十一章　人文の発展（一）　【各宗寺院】　p612～p619　恵那郡教育会　1926年

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