長昌寺 (中津川市)

長昌寺の歴史と遺構

長昌寺（ちょうしょうじ）は、岐阜県中津川市坂下にあった臨済宗妙心寺派の寺院で、山号は萬歳山とされていました。この寺院は明治3年（1870年）の廃仏毀釈により取り壊され、その歴史は残された遺物と共に語られています。

寺院の創建

長昌寺は寛文5年（1665年）に開基されました。当時、民衆が居住する村には必ず檀家が必要とされ、未開の地には近隣の寺に属さなければならないという規則があったため、庄屋の原市右衛門が開山し、山口村の曹洞宗光西寺から舜屋大尭を招いて創設されました。その後、舜屋大尭の弟子である祖津が臨済宗に改宗し、寺院は発展を遂げました。

住職と寺の発展

寺院の歴史は、代々の住職たちにより語り継がれ、特に二世の祖津は臨済宗妙心寺派に改宗した影響を及ぼしました。曹洞宗との所管問題もありましたが、問題は公正に解決され、長昌寺は坂下三郷の住民にとっての菩提寺となったのです。しかし、 WWII後の廃仏毀釈の中で、その歴史が途絶えてしまいました。

廃寺とその遺産

1870年には苗木藩の政策によって寺院が取り壊され、仏像は焼却される前に一部隠匿されたものの、多くの遺物が失われました。中でも長昌寺の本尊であった木造釈迦如来坐像は、下野村の法界寺に秘かに移されるなど、その行く先は波乱に富んでいました。

現在の痕跡

現在、長昌寺のあった場所は住宅地となっていますが、歴代住職の墓や観音堂跡の石造物が残されています。これらは寺院の歴史を物語り、地域の人々に引き継がれる文化の一端を示しています。特に六地蔵や大きな聖観音像は、当地の宗教的かかわりを象徴しています。

木造釈迦如来坐像と文化財

明治42年（1909年）、かつての蔵田寺が再興され、長昌寺の本尊が改めて安置されることになりました。この像は室町時代後期に作られ、特異な彫刻スタイルであり文化財として評価されています。その後、長昌寺が辿った運命や、住職たちの様々な試練が未だに語り継がれています。

社会との関わり

また、長昌寺に関連する過去帳には、地域の人々の名前や集落名が記されているものの、一部は失われてしまっています。過去帳の箱書を見ると、長昌寺の材木が他へ流用されたことも記録されています。このような過去の品々は、元々長昌寺に属していた遺物が地域社会の文化と結びついていることを示しています。

結論

長昌寺の歴史は、ただの廃寺のストーリーではなく、地域の人々の信仰や文化の変遷を物語っています。今もその痕跡は残り、地域の生活に溶け込んでいます。おそらくは、この場所から新たな物語が生まれ続けていくことでしょう。

もう一度検索