長田新

長田 新 (おさだ あらた)

長田新は、1887年2月1日に生まれ、1961年4月18日に逝去した日本の著名な教育学者です。彼の専門は教育思想史であり、広島大学の名誉教授として数多くの業績を残しました。長田は長野県茅野市に生まれ、古田小学校下古田分校で教育を受け、歌人の島木赤彦の父からも指導を受けました。

学歴と初期のキャリア

長田は長野県立諏訪中学校を卒業後、広島高等師範学校の英語科で学び、大分師範学校で教職に就きました。1915年には京都帝国大学文学部を卒業し、その後、澤柳政太郎のもとで新教育運動に参加。教育の実証的な研究と実験を進めました。

広島における影響

彼のキャリアの中で特筆すべきは、1945年に広島で原爆に被爆したことです。この出来事は彼の人生に大きな影響を与え、戦後の教育再建や平和運動への参加を促しました。原爆の影響で重傷を負ったものの、彼は家族や教え子たちの助けによって回復しました。敗戦後の1945年12月には広島文理科大学の学長に就任し、同大学の再建に尽力しました。1953年まで教授として教育界に貢献し、1947年には日本教育学会初代会長にも選出されました。

教育思想とペスタロッチー研究

長田の研究対象は西洋教育史や思想史であり、特にペスタロッチー教育学の研究において著名です。長田はペスタロッチーの思想に深く感銘を受け、その教えを広めるために多大な努力をしました。彼の墓所はスイスのペスタロッチーの墓の近くに位置し、自らの影響を受けた教育者への敬意を表しています。

彼が設立したペスタロッチー研究室は、優れた民衆教育実践者に与えられるペスタロッチー教育賞を創設するなど、教育界で重要な役割を果たしました。

平和運動へのかかわり

また、長田は自らの被爆経験をもとに平和運動に取り組み、子どもたちが原爆についての体験を記した『原爆の子』を編纂しました。この書籍は多くの言語に翻訳され、その後映画化されたことから、国際的にも広がりを見せました。平和教育の重要な基礎文献として現在でも多くの人々に支持されています。

家族及び栄典

家族には、フェリス女学院大学名誉教授の長女・村井範子や、横浜市立大学名誉教授の息子・長田五郎がいます。また、孫にも慶應義塾大学の村井純や、日本文学研究者の長田真紀など優れた学者がいます。

長田新は1944年に勲二等瑞宝章を受章しており、その功績は日本の教育界に多大な影響を与え続けています。彼の著作は多岐にわたり、教育哲学や教育理念の発展に寄与してきました。彼の教えや業績は、後の教育者たちに引き継がれ、多くの学生たちに影響を与えています。

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