長谷井宏紀

長谷井宏紀

長谷井宏紀（はせい こうき、1975年生まれ）は日本の映画監督、脚本家、そして写真家です。岡山県岡山市にて生まれた彼は、後に東京に移り住み、アートと音楽を通じた独自の表現活動を行っています。

高校卒業後、彼は上京し、路上でギターを弾く生活を始めました。このころ、仲間たちと一緒に過ごすことが多く、下北沢の露天商としてベトナムから取り寄せた指輪を販売していました。彼の日常生活や経験は、後の作品にも影響を与えることとなります。

東京での生活の中で、知人の紹介により東京大学駒場寮に居を構えることになった長谷井は、食料が不足した際には、仲間たちと車で中野ブロードウェイに行くなど、共同生活の中での独自の文化を培っていきました。駒場寮内での立ち退き騒動の際には、その状況をビデオで撮影し、後に舞踏家や写真家たちとともにギャラリー「OBSCURE GALLARY」を設立しました。ここでは、段ボールハウスやホロコーストをテーマにした企画展を行い、アートの新しい形を模索しました。

長谷井はその後、海外へと活動の場を広げ、旧ユーゴスラビアのセルビアを拠点にしました。映画スチール写真家として活躍し、セルゲイ・ボドロフ監督の作品『モンゴル』では重要な役割を果たしました。その後フィリピンへ目を向け、ストリートチルドレンとの出会いから短編映画『GODOG』を制作。この作品は、セルビアで開催されたKustendorf International Film and Music Festivalでグランプリを獲得しました。

2012年には短編映画『LUHA SA DESYERTO（砂漠の涙）』を完成させ、フィリピンを舞台にした作品の制作に情熱を注いでいます。2015年には長編映画『ブランカとギター弾き』で監督デビューを果たしました。この映画は、国際映画祭で数々の賞を受賞し、長谷井の才能を広く知らしめるきっかけとなりました。特に、この作品はヴェネツィア国際映画祭をはじめ、多くの映画祭で高い評価を受け、観客賞やグランプリを連続して受賞するなど、彼の監督としての地位を確立するものとなりました。

これらの活動を通じて、長谷井宏紀は日本だけでなく、国際的な舞台でも注目されています。彼の作品は日常の中に潜む視点を独自のスタイルで切り取り、観客に強いメッセージを伝える力を持っています。現在も東京を拠点に新たな作品を生み出し続けており、映画界への貢献は計り知れません。

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