長谷川卓也

長谷川卓也：大衆文化と出版史を掘り下げた異才のライター

長谷川卓也（1925年9月17日 - 2021年7月27日）は、フリーライター、出版史研究者として知られています。彼は日本推理作家協会会員であり、現代風俗研究会、雑学倶楽部、書皮友好協会など、多岐にわたる分野の会員でもありました。

生い立ちと経歴

長谷川卓也は大阪市に生まれ、旧制官立大阪工専（現在の大阪公立大学工学部）を卒業しました。その後、東京新聞記者、東京田辺製薬役員を歴任しました。新聞記者としての経験と、企業での実務経験が、彼の執筆活動に深みを与えたと考えられます。

研究テーマと著作

長谷川卓也の研究テーマは、大衆文化、出版史、そして「猥褻」をめぐる問題など、多岐にわたります。彼の著作は、これらのテーマを独自の視点から掘り下げたものが多く、当時の社会状況や文化背景を理解する上で貴重な資料となっています。

主要な著作

《カストリ文化》考 (1969年)：戦後の混乱期における大衆文化の一側面を「カストリ」というキーワードで読み解きます。
猥褻出版の歴史 : 昭和22年～37年 (1978年)：昭和20年代から30年代にかけての猥褻出版をめぐる状況を詳細に記述しています。
最近の猥褻出版 : 1963～1979「昭和38年～54年」 (1979年)：昭和30年代から50年代にかけての猥褻出版の動向を追っています。
猥色文化考 : 猥雑物公然陳列 (1980年)：猥褻なものが公然と陳列されていた時代を考察しています。
面白本念入りガイド (1982年)：長谷川卓也が面白いと感じた本を紹介するガイドブックです。
書物横丁 (1983年)：古書店街を舞台にしたエッセイ集です。
いとしのブルーフィルム (1998年)：ブルーフィルム（成人映画）について論じた著作です。

これらの著作から、長谷川卓也が単なる「猥褻」研究者ではなく、社会や文化における「性」の位置づけを深く考察していたことがわかります。また、大衆文化に対する深い愛情と、それを冷静に見つめる視点を持ち合わせていたことが伺えます。

晩年と遺産

長谷川卓也は2021年7月27日に逝去されました。彼の著作は、出版史研究、大衆文化研究において、重要な貢献を果たしており、今後も読み継がれていくことでしょう。

参考文献

日本推理作家協会の会員紹介

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