長谷川正治

長谷川正治の生涯と業績

長谷川正治（はせがわ まさはる、1913年1月27日 - 1993年2月23日）は、日本の政治界に名を刻んだ政治家であり、書道の世界でも知られた存在です。北海道出身の彼は、小樽高等商業学校（現在の小樽商科大学）を卒業後、室蘭の栗林商会に入社しました。その後、日鉄港運に転職し、戦後は貿易会社や水産加工会社の設立に尽力し、社長に就任するなど、実業界でも活躍しました。

長谷川は、室蘭水産加工協同組合の組合長や、北海道水産加工協同組合の監事など、地域経済の発展にも寄与しました。1971年の市長選挙に際しては、革新系無所属候補として立候補し、現職の高薄豊次郎を僅か90票差で破り、初めて室蘭市長に選出されました。この選挙は、彼の政治キャリアの重要な転機となりました。

市長就任後、長谷川は市民との対話集会を積極的に開催し、市政における透明性の向上に努めました。また、造船業が不況に見舞われる中、小中学校の校舎の不燃化を進めるなど、地域の教育環境を向上させる取り組みを行いました。さらに、重要なインフラプロジェクトとして白鳥大橋の調査にも着手しました。彼の在任中の施策は、室蘭市における経済・社会の基盤を固めることに寄与しました。

1975年には再選を果たし、1979年まで市長を務めました。在任中には、室蘭市土地開発公社の理事や全国革新懇話会の世話人も兼任し、地域振興に尽力しました。

加えて、長谷川は書道にも深い造詣を持ち、長谷川遅牛（ちぎゅう）という名義で活動しました。特に市長在任中、右手に障害を抱えた後は、左手で書き続けるようになり、「左手庵」と名乗って社会派テーマの作品を世に送り出しました。彼は北海道書道展の審査会員や創玄書道会の名誉会員としても知られています。

長谷川正治は1993年に亡くなり、その死後、正六位に叙されました。彼の書道作品は、室蘭にある温泉ホテル「石水亭」のレリーフや室内の調度品などで見ることができ、今なお多くの人々に親しまれています。長谷川の多才な活動は、地域社会に多大な影響を与えたと言えるでしょう。

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