長谷川良信

長谷川 良信

長谷川良信（はせがわ りょうしん）は、1890年（明治23年）10月11日に茨城県で生まれ、1966年（昭和41年）8月4日に他界した浄土宗の僧侶であり、教育者、社会事業家として広く知られています。彼は大正・昭和時代に活躍し、淑徳大学の創設者でもあり、初代学長を務めました。彼の生涯は日本における近代社会福祉の発展に多大な影響を与えました。

異名と社会事業家としての顔

「貧民街の聖者」という異名を持つ長谷川は、賀川豊彦、鈴木修学と並び、宗教理念に基づく実践を行う三大社会事業家として評価されています。彼は「東の長谷川、西の賀川、中部の鈴木」と称され、終生数々の病に悩みながらも、セツルメント活動や婦女教育に従事し続けました。体調不良にもかかわらず彼は、日本における社会福祉の基礎を構築しました。晩年には浄土宗特命開教使として、ブラジルに何度も渡航し、布教や後継者の育成に尽力しました。

幼少年期の出発

彼の生い立ちは1890年に始まり、茨城県の元士族の家に生まれました。1896年には浄土宗の「得生寺」に養子として入籍し、住職の元で修行を始めました。その後、学校教育を受けつつ、宗教に目覚めた彼は、成人後も僧階を昇進させ、社会事業への関心を高めていきます。

社会事業への多様な取り組み

長谷川は1915年に東京市養育院で勤務し、1916年には病を抱えながら文筆活動を開始。病気を抱える中でも、「布教と社会事業」についての論文を発表するなど、多岐にわたる活動を展開しました。彼はスラム街に住む人々を支援するために、自ら「マハヤナ学園」を創立し、地域社会の教育に力を入れることになります。彼は西巣鴨のスラムに移住し、家庭教師として子どもたちに教育を施し、地域住民の生活向上に尽力しました。

学術と教育の発展

大正大学教授に就任し、さまざまな著作を通じて社会事業についての考察を深めました。1936年には自身の診療所を開設し、社会福祉事業に対する具体的な施策を打ち出しています。さらには、戦争中や経済困難な時期の中でも、教育機関の立ち上げや運営に力を注ぎ、多くの教育者を育てることにも貢献しました。

晩年とブラジル開教

彼の晩年は、ブラジル開教に関する活動が中心となります。63歳にして海外移住した日本人の宗教的支援を目的に、現地を視察し宗教・教育・社会福祉プログラムを実施しました。実際、この活動は自身の使命とし、ブラジルでの事業の基盤を確固たるものにするため尽力しました。生涯を通じて、彼は信仰と地域貢献の両立を求め続けました。

彼の影響と遺産

良信は1966年に75歳で遷化しましたが、その足跡は今も深く日本の社会福祉の歴史に刻まれています。彼の奉仕活動は多くの人々に影響を与え、特に教育と社会福祉の交差点に立つ人々にとって、モデルとされる存在です。彼の設立した淑徳大学は、今日に至るまで多くの社会福祉人材を輩出し続けています。彼の理念や行動は、今もなお多くの人々に引き継がれ、社会福祉の発展に寄与し続けています。

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