長趾伸筋

長趾伸筋（Extensor digitorum longus muscle）の詳細解説

長趾伸筋は、人間の下肢に存在する筋肉であり、主に第2趾から第5趾の伸展（つま先を持ち上げる動作）を担っています。足の動きにおいて重要な役割を果たすこの筋肉について、以下に詳細を解説します。

起始

長趾伸筋は、以下の部位から起始します。

脛骨外側顆：脛骨（すねの骨）の外側の端にある隆起
腓骨頭：腓骨（脛骨の外側にある細い骨）の上端
腓骨体前縁：腓骨の骨幹の前側の縁
下腿筋膜：下腿（膝から足首までの部分）を覆う膜
骨間膜：脛骨と腓骨の間にある膜

これらの部位から起始し、筋肉の繊維が束となって下に向かいます。

停止

長趾伸筋は、足首の近くで4本の腱に分かれ、それぞれの腱が第2趾から第5趾に向かいます。これらの腱は、以下の部位に停止します。

第2～5趾の指背腱膜：それぞれの足指の甲を覆う腱膜

腱は腱鞘というトンネル状の構造の中を通り、摩擦を軽減しながらスムーズな動きをサポートします。また、腱は足首の前方にある上伸筋支帯と下伸筋支帯の下を通過し、足首の安定性を保ちます。

作用

長趾伸筋の主な作用は以下の通りです。

1. 第2～5趾の伸展: 足の指を持ち上げる動作です。歩行時に地面から足を離す際や、足の裏で物を掴む動作などに必要です。
2. 足関節での足の背屈: 足首を曲げて、つま先をすねに近づける動作です。歩行時に足を前に振り出す際に重要です。
3. 足関節での足の外反: 足の裏を外側に向ける動作です。バランスを保つために働きます。

神経支配

長趾伸筋は、深腓骨神経（L4、L5、S1）によって神経支配されています。深腓骨神経は、下腿の前方にある筋肉を支配する神経であり、長趾伸筋の運動機能を制御しています。

臨床との関連

長趾伸筋の機能不全は、以下のような症状を引き起こす可能性があります。

下垂足: 足関節の背屈が困難になり、歩行時に足を引きずるようになる状態。
足指の変形: 指の伸展が制限されることで、ハンマートゥなどの変形を引き起こす可能性。

これらの症状は、神経の損傷や筋肉自体の障害によって引き起こされることがあります。適切な診断と治療が必要です。

まとめ

長趾伸筋は、足の指の伸展、足関節の背屈、外反に関与する重要な筋肉です。歩行やバランス保持に不可欠であり、その機能不全は日常生活に大きな影響を与える可能性があります。足の健康を維持するためには、長趾伸筋を含む下腿の筋肉のケアが重要です。

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