門脇厚司

門脇 厚司

日本の教育学者。教育社会学を専門とし、筑波大学名誉教授として教育研究・教育行政に長年貢献している。

経歴と学歴

1940年9月30日、中国青島市に生まれ、山形県で育つ。東京教育大学教育学部を卒業後、同大学院教育学研究科に進み、博士課程を単位取得退学した。

研究者としてのキャリアは、淑徳大学講師から始まった。その後、教育研究とは異なる分野も経験。日本経済新聞社に勤務し、企画調査部門で知見を深めた。

再び教育界に戻り、母校である東京教育大学で講師、助教授を務めた。大学の組織改編に伴い、筑波大学へ移籍し、助教授、教育学系の教授として長年にわたり教育研究と後進の指導にあたった。

大学運営と教育行政への関与

筑波大学を退職後は、高等教育機関の運営に携わる。2004年4月から2005年3月まで東京家政学院筑波女子大学の学長を務めた。続いて2005年4月から2008年3月にかけては、筑波学院大学の学長として大学経営の指揮を執った。

さらに、地方教育行政にもその経験と知識を還元した。2010年10月から2016年3月まで茨城県美浦村の教育長を務め、地域の教育振興に尽力。2016年12月からは、茨城県つくば市の教育長に就任し、日本の科学技術・教育研究の中心地の一つであるつくば市の教育行政を牽引した（任期満了に伴い退任）。

研究分野と「社会力」

専門は教育社会学。社会の変化が教育に与える影響や、教育が社会に果たす役割などを多角的に研究している。特に、現代社会において子どもや若者に求められる資質として「社会力」という概念を提唱し、注目を集めた。これは、単なる学力だけでなく、他者と協力し、社会で円滑に生きていくために必要な能力を指す。

主な著作

門脇氏の研究成果は、数多くの著作として発表されている。代表的なものには、岩波新書から刊行された『子どもの社会力』や『社会力を育てる　－新しい「学び」の構想』がある。これらの著書では、子どもの「社会力」の重要性を説き、それを育むための具体的な方法論を提示している。

他にも、現代における個人の生き方や価値観を探る『現代の出世観』、子どもや若者を取り巻く現代社会の諸相を分析する『子どもと若者の〈異界〉』といった著作がある。また、『社会力の時代へ　―互恵的協働社会の再現に向けて』や『社会力育ての現場を訪ねて　－ラボ教育メソッドの魅力と価値』（いずれも冨山房インターナショナル）では、「社会力」を基軸とした社会のあり方や、具体的な教育実践についても深く論じている。

現在の活動

筑波大学名誉教授として後進の指導や研究を続ける傍ら、ラボ言語教育総合研究所の代表や日本教師教育学会の会長を務めるなど、多方面で日本の教育界に貢献している。前つくば市教育長として、地方の教育課題にも引き続き関心を寄せている。

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