開出英之

開出英之

開出英之（かいで ひでゆき）氏は、1962年（昭和37年）8月26日、埼玉県に生まれました。日本の自治・総務官僚として、長年にわたり国の行政、特に地方自治や復興分野で重要な役割を担ってきました。

官僚への道

1985年（昭和60年）に国家一種試験（法律区分）に合格。翌1986年（昭和61年）3月に東京大学法学部を卒業後、同年4月、当時の自治省に入省し、官僚としての第一歩を踏み出しました。

多様なキャリアパス

自治省入省後、開出氏は中央省庁だけでなく、地方自治体や関連省庁で幅広い経験を積んでいきます。初期のキャリアでは、自治省税務局での勤務を経て、2001年（平成13年）1月には中小企業庁長官官房政策調整課企画官として地域経済活性化策に携わりました。同年11月には仙台市企画局長に就任し、地方行政の現場で市政運営やまちづくりに関わりました。

その後、再び中央の舞台に戻り、国民の安全に関わる分野にも貢献します。2007年（平成19年）9月、消防庁消防・救急課救急企画室長として、救急医療体制の整備や運用に関する重要な業務を担いました。

国土交通省では、国土の基盤に関わる政策に携わりました。2010年（平成22年）8月には土地・水資源局土地政策課長として、土地利用に関する政策立案を担当。翌2011年（平成23年）7月からは、同省の土地・建設産業局企画課長として、建設産業の振興や関連政策の企画調整に従事しました。

総務省へと組織が再編された後、開出氏は地方自治の根幹を支える財政や税務の分野で中心的な役割を担うようになります。2012年（平成24年）9月には自治財政局財務調査課長として地方財政の状況把握や分析を指揮。2013年（平成25年）4月からは自治税務局に移り、都道府県税課長、企画課長といった要職を歴任し、地方税制全体の企画・立案や運用に深く関与し、その専門性を高めました。

地方税務行政のトップへ

長年の地方財政・税務分野での実績と経験が高く評価され、2019年（令和元年）7月5日、総務省自治税務局長に昇任。地方税政の最高責任者として、地方自治体の安定した税源確保や税制の公平性、効率性向上に向けた取り組みを指揮しました。

復興への尽力

総務省退官後、開出氏は東日本大震災からの復興という国家的課題に対し、その手腕を発揮します。2020年（令和2年）7月20日、復興庁統括官に就任し、被災地の復興事業推進に向けた省庁間・自治体間調整などを担当しました。翌2021年（令和3年）7月1日には、復興庁の組織運営および政策執行の最高責任者である事務次官に就任。被災地の生活再建、産業復興、インフラ整備など、広範な復興課題の解決に向けてリーダーシップを発揮しました。

復興庁事務次官を退任した後も、被災地支援への情熱は変わらず、2022年（令和4年）6月28日、福島復興再生総局事務局長に就任。特に東京電力福島第一原子力発電所事故からの復興という、極めて困難な課題に対し、現場に密着した形で復興・再生に向けた取り組みを指揮しています。

開出英之氏は、官僚として自治・総務行政、特に地方財政・税務分野で確固たる基盤を築くとともに、復興という国家的課題においても重要な役割を歴任してきました。その多角的な視点と長年の経験は、今後も日本の行政運営や被災地のさらなる再生に貢献していくことでしょう。

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