開化探偵帳

開化探偵帳

『開化探偵帳』は、1968年11月1日から1969年10月10日まで、NHK総合テレビで放送されたテレビドラマで、金曜日の夜に放送されました。この作品は、珍しく明治維新後の東京を舞台にしており、明治7年から8年の文明開化期の情景が描かれています。

概要

物語は元武士の新宮寺京介が主人公で、彼は警視庁に勤務し、浅草を拠点とした探索方として働いています。京介はチョンマゲを切り落とし、背広姿で時代の流れに適応する人物として描かれています。ドラマは彼の職場である浅草伝法院屯所を舞台に、上司や同僚、街の人々と共に様々な事件に挑む様子を描いています。

原作者の島田一男は、ドラマ制作のために徹底的な調査を行い、警視庁を訪れるほどの情熱を持っていました。彼は「明治時代の史実は知られているが、その周辺については知られていないことが多い。それを調べ、考証しながらドラマを作りたい」という想いを抱いていました。この作品は江戸時代の捕物帳のスタイルを踏襲しつつ、新たな「探偵帳」としての枠組みを模索しています。

登場人物

主要キャラクター

• - 新宮寺京介（演：緒形拳）: 深川の浪人の子として育った探索方二等巡査。事件解決には証拠を重視するキャラクターです。
• - 藤井弥太郎（演：川崎敬三）: 京介の同僚で元南町奉行同心。気取り屋に見えるが、優しさを秘めた性格です。
• - 大木一郎太（演：小山田宗徳）: 浅草屯所の上司で元薩摩藩士。部下を気遣う優れた指導者です。
• - 庄司孫右衛門（演：巌金四郎）: 團所の最年長者で、温厚なキャラクター。
• - お源（演：滝那保代）: 知恵者で、屯所に噂話などの情報をもたらす雑役婦です。

浅草の人々

• - 伊之助（演：中原成男）: 京介たちが常連にしている蕎麦屋の主人。
• - お金（演：鮎川いずみ）: 京介に恋心を抱く娘で、彼とのすれ違いに悩みます。

スタッフ

本作は島田一男が制作に深く関わり、脚本や演出も多数のスタッフによって形成されています。NHKの協力のもと、リアルな時代背景とキャラクターの成立に努めました。

当時の浅草の警察

登場する浅草巡査屯所は、明治7年ごろには神社仏閣と繁華街が共存し、多くの事件が起こる場所でした。この屯所は、私服刑事が詰めるもので、主に自然災害や犯罪に対応していました。警視庁が設立された当時は、巡査が主に捜査を行っており、ドラマを通じてその当時の警察制度の変遷も描かれています。

エピソードの魅力

主人公を演じる緒形拳は、役作りに熱心で多くのメモを台本に残しており、共演者との競争心を抱きながら演技に取り組んでいました。また、藤井弥太郎を演じる川崎敬三は、独特のキャラクターによって多くの視聴者の心を掴んでいました。ドラマにおける殺陣は高いテンポと特異な戦い方が求められ、リアリティを追求する努力がなされました。

放送時には、当時流行の服装や文化も映し出され、視聴者に時代の雰囲気を伝える重要な要素となっています。最終的に、京介とお金の関係は急遽変更されるが、それもまたドラマを彩る一部となりました。

『開化探偵帳』は、単なるドラマに留まらず、明治時代の文化や社会に触れる貴重な作品であり、探索方を通じて人間ドラマの深さを描き出しました。

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