関東鉄道キハ5010形気動車

関東鉄道キハ5010形気動車の概要

関東鉄道が展開するキハ5010形気動車は、通勤向けの新しい気動車としてデザインされました。これは、元々国鉄のキハ30形をワンマン運転に改造したキハ100形の後継車両です。2017年2月25日に営業運転を始めたこの車両は、新潟トランシス社によって製造されました。

導入背景

関東鉄道ではそれまでキハ2100形からキハ5000形まで、数多くの新型気動車が導入されていました。ただし、キハ2100形の初号車が導入されたのは1993年であり、20年以上が経過する中でエンジンの技術が古くなっていました。特に、従来使われていた新潟原動機製のDMH17系エンジンは、時代遅れとなりつつあり、改良の必要が生じていました。

また、車両の照明についても改善が求められ、LED照明の導入が決定されました。初めての試みとしてキハ2100形の一部車両に新型エンジンとLED照明を実装し、長期間の走行試験を行いました。これにより、新たな技術が実用化され、関東鉄道初の量産型としてのキハ5010形が誕生することとなりました。

特徴

キハ5010形は、キハ5000形をベースとしておりながらも、数々の新しい技術やデザインが採用されています。具体的な特徴は以下の通りです。

• - 車両デザイン: 車両は「関鉄ホワイト」と称される白色基調に、常総線地域の鬼怒川と小貝川をイメージした青色のツートンカラーが施されています。また、黄金色のラインが車体腰部に配置され、「豊かな大地に波打つ稲穂」を表現しています。運転室側には、新緑の筑波山をモチーフとしたマークもあります。
• - 新型エンジン: 新たに導入されたコモンレール式燃料制御システムを搭載した小松製作所製のSA6D125-HE2型エンジンは、出力355馬力を誇り、私鉄としては初めての導入となります。
• - LED表示器: 停車駅の案内用にLED表示器が扉の片側に設置され、停車駅の一覧も確認しやすくなっています。
• - 運賃機器: 整理券発行機の設置は運賃箱近くの一ヶ所のみに集約され、乗客にとって使いやすい構造になっています。
• - 車内設備の改善: 車内の照明は全てLEDに変更され、明るく快適な空間が提供されています。腰掛モケットの色は従来の赤色に戻され、乗客に親しみやすさを感じさせる工夫があります。つり手は2段式に形状が変えられ、より使いやすくなっています。

さらに、ワンマン運転を意識した機器に関しては、液晶式の運賃表示器が導入されているほか、耐雪ブレーキの追加なども行われており、全体として安全性を高める設計がなされています。

現在の運用

現在、関東鉄道にはキハ5011号とキハ5012号の2両が在籍しており、主に常総線で運用されています。2017年の運行開始初期には、公式ウェブサイトで運行時刻の案内が行われるなど、利用者への情報提供も充実していました。新たなカルチャーと技術を融合させたこの気動車は、今後も多くの通勤客に利用されることが期待されています。

参考文献

1. 『鉄道ファン』（交友社）2017年5月号「キハ100形の置き換え用として導入された新形式車両、関東鉄道キハ5010形」。

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