関節式機関車

関節式機関車について

関節式機関車（かんせつしききかんしゃ、英: Articulated locomotive）は、蒸気機関車の一種であり、主に動力台車が主台枠に対して相対的に動くことができる特性を有しています。本機器は、特に固定軸距が長くて曲線通過が困難な鉄道車両にとって、最適な解決策となっています。関節式機関車は急曲線を有する森林鉄道や産業用鉄道、山岳鉄道などで利用されましたが、標準形の鉄道でも大型機関車を効率よく運転するためにも使われます。

使用事例

関節式機関車は、特にヨーロッパの狭軌鉄道で非常に人気があり、多くの国で多様に使用されてきました。アメリカ合衆国ではユニオン・パシフィック鉄道の4000形蒸気機関車（通称ビッグ・ボーイ）や、H-8型と言われるアレゲニーがあり、これらは史上最大の蒸気機関車として特筆されます。

構造の多様性

関節式機関車の設計にはさまざまなスタイルがありますが、マレー式機関車が最も一般的です。この方式では、1つのボイラーの下に2つの台枠を持ち、それぞれがシリンダーと動輪を備えています。ボイラーは後部台枠に固定され、前部台枠はボイラーに対して動く構造です。このようにすることで、曲線走行時の安定性を高めることができます。

他にも、ガーラット式やフェアリー式など、多くの関節式蒸気機関車の種類が存在します。ガーラット式は、両端に動輪とシリンダーがあり、その上にボイラーと運転室を置く方式です。これにより、水タンクを車両に内蔵でき、大型機関車に適しています。
フェアリー式は、背中合わせに2つのボイラーを連結し、急カーブに効果的とされていますが、構造的な欠点により1911年までに他の方式に取って代わられました。

主な関節式蒸気機関車の種類

• - マレー式: 1884年にアナトール・マレーによって考案され、ボイラーに固定された後部台枠と動ける前部台枠を持つ。日本では短命で使用された。
• - ガーラット式: ハーバート・ウィリアム・ガーラットによって1907年に考案され、炭水タンクの配置に工夫が見られる。長距離走行に適しています。
• - フェアリー式: 1863年にロバート・F・フェアリーによって考案された機関車。この方式は2つのボイラーを使い急カーブに適していますが、実用化には至りませんでした。

その他の形式

他にも、メイヤー式やマッファイ式など多様なタイプが存在し、各々が独自のメリットとデメリットを持っています。メイヤー式は遊動するシリンダーを持ち、主にヨーロッパで利用されたほか、マッファイ式は信頼性に欠け、実用化されることはありませんでした。

結論

関節式機関車は、動力台車の関節構造を利用して運行の安定性を高め、曲線を容易に通過する能力を持ちます。その結果、さまざまな鉄道環境で広く使用され続けています。今後もその技術的魅力や機能は、鉄道の未来においても展開されていくことでしょう。

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