関銭

関銭（せきせん）についての詳細

関銭とは、中世の日本において主要な交通路や港に設けられた関所で、通行する人馬や船、荷物に対して徴収された通行税を指します。狭義では銭で徴収されたものを意味しますが、広義には米などの実物で課される通行税も含まれます。この制度は、当初は関所の設置者が通行の安全を保証するための対価（警固料）として導入されましたが、次第に財政的理由からの租税として位置付けられるようになり、交通や流通にとって障害となることもありました。

概要

関銭には、現在30種類以上の別名が存在し、それぞれ徴収方法や目的、税率に基づいて呼ばれています。例えば、津料は徴収場所に由来し、警固役は徴収の目的に由来しています。また、升米は徴収税率に、艘別銭は徴収対象に基づく名称です。このように、関銭は地域により色々な形態を持つ税金でありました。

平安時代から通行税の徴収は始まっていましたが、関所が広く設けられるようになったのは鎌倉時代からです。「関銭」という名称が使われるのは、貨幣経済が進展し、銭による徴税が一般化した鎌倉時代の後期以降です。そして、南北朝時代から戦国時代にかけては、通行税を一律に示す名称として一般に定着しました。

最初の頃は、通行する荷物の価格の1％程度が基準の税率とされており、徴収された関銭は関所の維持や治安の保全に充てられていました。しかし、時代が進むにつれて、地域性や徴収対象商品の種類、関所設置者の財政状況に応じて税の内容が多様化しました。特に室町時代に入ると、朝廷、幕府、寺院、領主、惣村といった様々な主体が財政難を補うためそれぞれ独自の関所を設け、関銭を課すようになりました。その結果、旅行者や商人が多重の負担を被ることとなり、交通や流通の障害とされました。

また、この頃には第三者に徴収を委託するケースも多く見られ、これにより旅行者たちへの負担がさらに増大しました。これが原因となり、関所は徳政一揆などの社会運動によって攻撃の対象にもなりました。

経時的には、織豊政権の下で関所の撤廃が徐々に進行し、その結果関銭の制度は次第に消滅することとなりました。

このように、関銭は中世日本の社会と経済に多大な影響を及ぼし、時には人々の生活を困難にし、また流通を制約する役割も担っていました。関銭の廃止は、流通の自由化に寄与したと考えられています。

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