闘争出版社

闘争出版社（Kampfverlag）について

概要

1926年に設立された闘争出版社は、国家社会主義ドイツ労働者党の一部として、特にナチス左派の意見を発信するために生まれました。設立者はグレゴールとオットー・シュトラッサー兄弟で、彼らはナチ党内の既存の組織やジャーナリズム界に新たな風を吹き込む目的で、出版社の設立を決定しました。

当初、ナチスの機関紙であった「国民社会主義通信」は、指導者グレゴールの個人的視点を強く反映しており、正式な党の代表としては機能しなくなりました。これに対抗する形で、兄弟は資金調達を行い、闘争出版社を設立。ミュンヘンのフランツ・エーア出版社と競い合いながら、彼らのジャーナリズムは急速に成長を遂げました。

闘争出版社は、ハンマーと剣、そしてハーケンクロイツが交差するシンボルを用いて、様々な単行本や定期刊行物を発行しました。『ベルリン労働者新聞』や『国民社会主義者』といったタイトルの出版物は、当時のジャーナリズム界において大きな影響をもたらしました。その結果、闘争出版社はフーゲンベルク・コンツェルンに匹敵する出版王国を形成し、様々な国民革命派の意見を反映する場ともなりました。

論争と対立

しかし、こうした繁栄の裏には派閥間の激しい対立がありました。特に、ゲッベルスが関与するライバル誌との間に確執が生じ、両陣営の支持者同士の衝突が頻発しました。その影響を受けて、シュトラッサー兄弟は闘争出版社の本拠地をベルリンからブランデンブルク管区のレーニッツに移転させることになりました。

さらに、彼らの活動はヒトラーにとって都合が悪く、大きな脅威となっていきました。1930年初頭、ヒトラー自らが二人との会談を持ち、闘争出版社に対して活動の自粛を求めました。また、ヒトラーは企業の買収も視野に入れていましたが、グレゴールは和解を試みる一方で、オットーは強硬に反対。結局、話し合いは平行線を辿りました。

この対立の中で、オットーはザクセンの金属労働者のスト問題に関する『ザクセン物見』の報道を巡ってヒトラーと意見が対立し、その結果、さらに関係は悪化。続く会談でも両者は折り合いを見せずに終わりました。

脱党声明と終焉

1930年7月3日、オットーはヒトラーに最後通牒を送りましたが、ヒトラーはこれを無視。その結果、党内の左派メンバーたちは7月4日に『ソーシャリスト、ナチ党を去る』という脱党声明を発表し、党を去ることになりました。グレゴールを含む一部のメンバーは党に残りましたが、これは左派と右派間のさらなる亀裂を象徴する出来事でした。

10月1日、闘争出版社はその活動に終止符を打ちました。出版社の閉鎖は、彼らの理念や影響の喪失を意味し、ナチス左派の存在も薄れてしまうこととなりました。

関連項目

闘争出版社の設立から閉鎖までの経緯は、ナチス左派の台頭とその後の没落を語る重要な事例です。彼らの存在は、国家社会主義ドイツ労働者党内の激しい潮流を反映しており、政治的な歴史とも密接に結びついています。

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