阪妻・立花・ユニヴァーサル連合映画

阪妻・立花・ユニヴァーサル聯合映画とは

阪妻・立花・ユニヴァーサル聯合映画（ばんつま たちばな ユニヴァーサル れんごうえいが）は、1926年9月に契約が締結され、1927年5月に契約解除となった、日本とアメリカ合衆国の合弁による映画会社です。当時の人気スター俳優であった阪東妻三郎が率いる阪東妻三郎プロダクション（阪妻プロ）と、アメリカの大手映画会社ユニヴァーサル社が手を組み、新たな映画製作の可能性を模索しました。

設立の背景

1926年9月、阪東妻三郎はユニヴァーサル社との間で、阪妻プロが映画製作を行う契約を結びました。この契約は、アメリカでの公開を目的としたものではなく、日本国内での阪東の人気に注目したユニヴァーサル日本支社長が、自社作品の併映を狙ったものでした。

一方、阪妻プロの経営者である立花良介は、1925年に同プロダクションを設立し、奈良や東京の撮影所を使用していましたが、1926年5月には京都の太秦に「太秦撮影所」を開設し、阪東主演作を製作していました。

壮大な計画

この契約により、ユニヴァーサル社は撮影機材や現像機材などを提供し、技術スタッフを派遣しました。阪妻プロからは毎年男女優1名ずつをユニヴァーサル・シティに派遣し、見学や出演の機会を与える計画もありました。さらに、太秦撮影所で製作された映画をユニヴァーサル社が世界配給するという壮大な構想も発表されました。

ユニヴァーサル社の創立社長であるカール・レムリも、日本の映画技術向上を願うメッセージを日本の関係者に送りました。1926年10月には、監督や撮影技師などの技術スタッフとともに、ベルハウエルの映画用カメラや照明機材などが横浜港に到着しました。また、宣伝部長には大阪時事新報社の記者であった神崎泉が就任しました。

作品と興行

設立第一作『切支丹お蝶』は、1927年1月に公開され、日本の映画批評界から高い評価を受けました。しかし、「阪妻・立花・ユニヴァーサル連合映画」の最大の課題は、阪東妻三郎の出演作の配給権を松竹キネマが握っていたことでした。阪東は他の作品に少し顔を出した程度で、「連合映画」には全く出演できませんでした。

スター不在の同社現代劇は興行的に苦戦し、ユニヴァーサル社の思惑とも外れたため、1927年5月末には契約解除となり、訴訟にまで発展しました。

立花と阪東が描いた夢は実現せず、「太秦撮影所現代劇部」は解散しました。未完のまま終わった『飛行夜叉』全3部作を含め、35本のサイレント映画を残して、その短い歴史に幕を閉じました。

フィルモグラフィー

1927年1月から契約解除後の7月にかけて、以下のような作品が製作されました。

1月
切支丹お蝶
同時上映：大帝の密使（フランス映画）
2月
吸血鬼
笑殺
青蛾
突風を突いて
狂乱星月夜
馬鹿野郎
3月
相寄る魂
濁流
明暗
血潮
若人とロマンス
逆生
輪廻
潮鳴
愛怨二筋道
4月
嵐に立つ女 前篇
泥濘
嵐に立つ女 後篇
武士の家
惑路
当世新世帯
石段心中
仇討奇縁
湖
5月
雲雀
兄貴
閃影 前篇
閻魔帖抜書
街道
弱虫
飛行夜叉 前篇
6月(契約解除後)
武士なればこそ
港の灯
7月
美しき奇術師
飛行夜叉 中篇（最終作品、後篇は製作されず）

関連事項

ユニバーサル映画（カール・レムリ）
阪東妻三郎プロダクション（阪東妻三郎、立花良介）
ユニヴァーサル・シティ

外部リンク

Bantsuma Tachibana Universal Rengo Eiga - IMDb
* 1927年 公開作品一覧 668作品 - 日本映画データベース

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