阪神高速道路大阪泉北線

阪神高速道路 大阪泉北線

阪神高速道路大阪泉北線（はんしんこうそくどうろ おおさかせんぼくせん）は、かつて大阪府において計画されていた都市高速道路の路線名です。大阪市を南北に縦断するルートが構想されており、将来は阪神高速道路の既存路線と連携し、現在の環状線に次ぐ第二の環状ネットワークを形成する役割が期待されていました。

計画から工事開始までの道のり

この路線の計画は、JR西日本の阪和線が行っていた線路の高架化、すなわち連続立体交差化事業と連携して進められることになりました。一体的な整備計画に基づき、1981年（昭和56年）7月には都市計画として正式に決定されました。続いて1982年（昭和57年）5月には、具体的な事業主体となる阪神高速道路公団に対し、基本計画に関する指示が出されました。計画はさらに進み、1983年（昭和58年）5月には工事実施計画書が認可され、翌6月にはいよいよ工事開始が公告されるに至りました。

事業中止とその背景

順調に進むかに見えた計画でしたが、大きな転機が訪れます。1995年（平成7年）1月に発生した阪神・淡路大震災です。この地震により阪神高速道路の3号神戸線で高架橋が倒壊するなど甚大な被害が出たことから、建設計画中の大阪泉北線の高架構造に対する耐震性が不安視されるようになりました。これに伴い、沿線住民の間で反対意見が高まり、事業の継続が困難な状況となりました。

事態を受けて、阪神高速道路公団は1998年度（平成10年度）に工事を一時休止し、計画の見直しに着手しました。高架構造の耐震補強だけでなく、地下化の可能性も含めた詳細な再検討が行われました。しかし、様々な要因を検討した結果、最終的に事業の中止が決定されました。そして、2003年（平成18年）3月には工事の廃止が正式に許可され、公告をもって計画は撤回されました。

この大阪泉北線は、一度着工した高速道路の建設が中止された事例として、全国で初めてのものでした。

計画の変更と現在の状況

高速道路としての建設計画は中止されましたが、一体事業として進められていたJR阪和線の高架化については、構造を再検討した結果、高速道路部分の3階建て構造を中止し、阪和線の高架化単独事業として継続されることになりました。阪和線の高架化事業はその後進められ、2006年（平成18年）5月21日に完成を迎えました。

一方、高速道路の建設予定地となっていた場所は、2003年（平成18年）3月12日付で大阪府の都市計画からも廃止されました。その跡地は現在、大阪市の計画道路として活用されることになり、阿倍野区天王寺町南1丁目（国道25号）から住吉区山之内元町（大和川北岸線）に至る区間において、緑道「大阪都市計画道路天王寺大和川線」として整備が進められています。この緑道事業は、平成16年度から40年度（令和10年度）までの期間で実施される予定です。

計画されていた主な施設

（いずれも計画時の仮称）

大和川第二JCT（6号大和川線と接続予定）
天王寺東ランプ

大阪泉北線は、計画されながらも実現に至らなかった路線の事例として、日本の高速道路計画の歴史において特筆される存在となっています。

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