防災管理者

防災管理者について

防災管理者とは、消防法に基づき、建築物等の所有者または管理者によって選任され、火災以外の災害による被害を軽減するための活動を計画・実施する責任者です。

概要

消防法第36条第1項では、火災以外の災害による被害軽減のため、特定の建築物等において、防火管理者に関する規定が準用されています。この際、「防火管理者」が「防災管理者」と読み替えられ、それぞれの役割が明確化されています。大まかに言えば、防火管理者は火災に対応するのに対し、防災管理者は地震やテロなどの災害に対応します。

防災管理者の選任が必要な建築物は、消防法施行令第46条で定められており、甲種防火管理講習の修了によって防火管理者となることができる対象と同一です。防災管理者は、防火管理者と同様に消防計画を立てますが、防災管理では被害想定が必須となります。防災管理の消防計画があれば、別途、防火管理の消防計画を立てる必要はありません。

選任要件

防災管理者の選任要件は、消防法施行令によって以下のように定められています。

1. 甲種防火管理講習の課程を修了した者、または大学や高等専門学校で防災に関する学科や課程を修めて卒業し、防災管理講習の課程を修了した者
2. 甲種防火管理講習の課程を修了した者、または大学や高等専門学校で防災に関する学科や課程を修めて卒業し、1年以上の防災管理の実務経験を有する者
3. 市町村の消防職員で、管理的または監督的な職に1年以上あった者
4. 上記に準ずる者で、総務省令で定めるところにより、防災管理者として必要な学識経験を有すると認められる者（防災管理点検資格者を含む）

なお、防災管理者には防火管理業務も行わせる必要があり、これは同一人物が両方の業務を兼務することを意味します。

資格講習

防災管理講習は、防火管理講習と同様に、都道府県知事、消防本部及び消防署を置く市町村の消防長、総務大臣の登録講習機関（一般財団法人日本防火・防災協会）によって実施されています。

講習時間は4時間半で、講習効果測定試験が含まれます。甲種防火管理者資格がなくても講習は受講できますが、防災管理者として認められるのは、甲種防火管理者資格を取得した後になります。

再講習

防災管理者には、知識や技能の維持を目的として、5年ごとの再講習が義務付けられています。ただし、再講習の対象となるのは、実際に防災管理者として選任されている人物のみです。

他の資格を受験した場合の特典

甲種防火管理者になると、防火管理技能講習及び防災管理講習の受講資格を得ることができます。また、甲種防火管理者が防火管理技能講習を修了し、考課測定に合格すると防火管理技能者となり、防災管理講習を修了すると防災管理者となることができます。

自衛消防業務講習、防火対象物点検資格者、防災管理点検資格者の修了者は、講習科目の一部（学科のみ）が免除されます。

統括防災管理者

東日本大震災の教訓から、消防法が改正され、建物内で管理権原が分かれている防火対象物については、有資格者で、建物全体の防災管理を行う上で必要な権限や知識を有する者から統括防災管理者を選任することが義務付けられました。

統括防災管理者は、建物全体の防災管理に係る消防計画（防災計画書）を作成し、管轄の消防機関に届け出る必要があります。統括防災管理者の義務や役割・権限は、統括防火管理者とほぼ同様です。

統括防災管理者の選任が必要な建物は以下の通りです。

地上11階以上で、延べ面積が10,000㎡以上のもの
地上5階以上10階以下で、延べ面積が20,000㎡以上のもの
地下4階以下で、延べ面積が50,000㎡以上のもの
延べ面積が1,000㎡以上の地下街


これらの情報を参考に、防災管理者の役割と責任について理解を深めてください。

参考文献

防災管理者講習テキスト　平成23年4月発行　財団法人日本防火協会（現 （一財）日本防火・防災協会）

関連項目

防災管理点検資格者
日本の建設に関する[[資格一覧]]

外部リンク

防火・防災管理講習 - 日本防火・防災協会

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