阿久津忠男

阿久津忠男 - 益子焼の陶芸家

阿久津忠男（あくつ ただお、1950年3月17日生まれ）は日本の栃木県で名高い陶芸家です。主に益子町で活動しており、彼の作品は特に手びねり技法によって生み出される深い瑠璃色の釉薬が特徴です。この瑠璃釉は、彼の陶芸スタイルの核心を成し、使う者を惹きつける神秘的な美しさを持っています。彼の息子も陶芸家であり、阿久津雅土という名前で活動しています。

経歴

阿久津忠男は栃木県高根沢町に1950年に生まれました。幼少期は群馬県高崎市や栃木県足利市で過ごし、栃木県立栃木高等学校を卒業後、青山学院大学の経済学部に進学しました。1972年に卒業した彼は「自然に湧き上がった欲求」として、何もない荒れ地から自分自身を育て、新たな作品を生み出すことを目指しました。

その後、栃木県窯業指導所に入所し、1973年に近代陶芸家である廣崎裕哉のもとで修行を始めます。1975年には自らの窯を構え、独立を果たしました。現在、彼は「創作工房あくつ」を拠点に活動しており、さまざまな器を手がけています。

当初は灰釉や糠釉の作品も制作していましたが、彼は藍色に強い魅力を感じており、特に瑠璃釉と名付けた釉薬は正倉院の面取瑠璃碗に影響を受けたものです。この瑠璃色は、彼の技術と感性を象徴する色となり、多くの人々を魅了しています。

作陶哲学とスタイル

阿久津は陶芸において、目立たなくてもいい、飽きの来ない使い心地の良い器を作ることを目指しています。彼は師から「古いものを良く見ろ」と教わり、その教えを胸に、中国の名窯「鈞窯」の青釉を出すことを目標にしています。作品はどれも、日常の中で使うことができる、シンプルでありながら深いこだわりを持っています。

展覧会歴

彼の作品は数多くの展覧会で展示されてきました。代表的なものには、1976年の「円の会」、1983年の初個展、2013年の日本橋高島屋での展示会、また2022年には「瑠璃の器～阿久津忠男展～」が開催され、多くの来場者を集めました。展覧会での彼の作品展示は、陶芸界でも注目の的です。特に近年は、息子の阿久津雅土との二人展も行い、家族の陶芸家としての伝統を引き継いでいます。

家族

阿久津忠男は、陶芸の世界では多才な家族に囲まれています。妻は陶芸家であり、タタラ作りと絵付けの分野で活躍している阿久津久美子。そして、息子の阿久津雅土も同様に陶芸家として、「創作工房あくつ」で活動しています。彼の家族はそれぞれの作品において、独自のスタイルと技術を融合させており、益子焼の伝統を新たな形で表現しています。

阿久津忠男の作品は、彼の人生と哲学が詰まった証として、多くの人々の心に深く触れています。これからも彼の陶芸が、さらなる発展を遂げることを期待しています。

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