阿賀正美

阿賀正美は、1903年（明治36年）3月16日に佐賀県で生まれ、1986年（昭和61年）4月9日に生涯を閉じました。彼は内務・厚生官僚として、また最後の官選福島県知事としてその名を歴史に刻んでいます。

経歴

阿賀正美は、佐賀県出身の阿賀末治郎の次男として誕生しました。第五高等学校を経て、1926年に東京帝国大学法学部政治学科を卒業しました。同年12月には高等試験行政科試験に合格し、内務省に入省、東京府属としてキャリアをスタートさせました。

その後、阿賀は厚生省に移り、社会保険局監理課長、体力局企画課長、人口局管理課長、同局修練課長などの要職を歴任しました。さらに、山形県内務部長、愛知県部長・警察部長、岩手県内務部長といった地方行政の要職も経験しました。

1947年3月、福島県知事であった石原幹市郎が知事選出馬のために辞任したことを受け、阿賀正美は後任として福島県知事に就任しました。当時の日本では、戦後の混乱期であり、地方行政も大きな変革期を迎えていました。阿賀は県議会議員選挙や知事選挙などを執行し、同年4月に知事を退任しました。知事としての任期は短かったものの、その間、地方自治の運営に尽力しました。

知事退任後の阿賀は、政治の世界にも挑戦しました。1953年の第3回参議院議員通常選挙に全国区から社会党右派公認で立候補しましたが、残念ながら落選しました。その後も、1955年2月の第27回衆議院議員総選挙に静岡2区から社会党右派公認で立候補しましたが、再び落選という結果になりました。

政治家としての道を断念した後、阿賀は再び行政や企業経営の世界で活躍しました。東京労働基準局長、全日本労働福祉協会長、緑富士株式会社社長などを歴任し、その手腕を発揮しました。

阿賀正美は、内務・厚生官僚として、また福島県知事として、激動の時代を生きた人物です。彼の経歴は、当時の日本の行政機構や社会情勢を理解する上で貴重な資料となっています。

脚注

参考文献
歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
『国政選挙総覧：1947-2016』日外アソシエーツ、2017年。

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