阿部三郎

阿部 三郎

概要

阿部三郎（あべ さぶろう、1926年7月6日 - 2010年9月8日）は、日本の著名な弁護士で、日本弁護士連合会会長や中央大学理事長を歴任した実績があります。特に1996年からは、宗教団体オウム真理教の破産管財人としての役割で知られています。

経歴

阿部は1926年に宮城県で生まれました。石巻商業高等学校を卒業した後、中央大学法学部に進学し、法律について学びました。司法修習を経て、1954年に東京弁護士会に登録、弁護士としてのキャリアが始まりました。1960年代には、社会問題となっていた売血制度の廃止に向けて積極的に活動し、弁護士会の人権擁護委員会を通じて実現しました。

その後、1970年代以降、彼は東京弁護士会の副会長や日本弁護士連合会の事務総長を務め、1980年代には同連合会の会長にも就任しました。弁護士界での影響力を高めていく中で、彼は多くの法律問題に取り組みました。

オウム真理教の破産管財人

1996年、オウム真理教に対する破産宣告が下され、阿部は破産管財人として任命されました。彼の任務は、教団の財産を徹底的に調査し、被害者への配当を確保することでした。彼は国会議員との連携を強化し、オウム真理教債権特例法の成立を促進するなど、積極的に活動を行いました。

阿部はまた、教団の信者の子供たちが自治体に就学を拒否される問題に対しても対応しました。「オウムの子だからという理由で就学を拒否することは許されない」と主張し、法律家としての視点から自治体や住民に対して説得を行い、信者が教団施設から転出するまでの一時的な就学を実現しました。

12年間の管財人としての活動を経て、2008年11月26日に行われた17回目の債権者集会での総括報告において、彼は被害者が寄付を含めて約15億4000万円の賠償を受けることが決定されたと発表しました。これは実際には約38億1000万円の賠償額の40.39%に当たり、残りの約22億7000万円はオウム真理教犯罪被害者支援機構に引き継がれることになりました。

功績

阿部は1997年に勲二等瑞宝章を受章し、2005年まで中央大学の理事長を務めるなど、教育界への貢献も行っています。彼は2003年から2005年にかけて凸版印刷株式会社や松下電工株式会社の監査役も歴任しました。

死去

2010年9月8日、心不全により千葉県松戸市の病院にて84歳で亡くなりました。彼の死は、法律界や社会に対する大きな影響を持っていました。

著書

阿部は自身の活動や思いを記録した著書を残しており、特に「破産者 オウム真理教 管財人、12年の闘い」では、オウムに対する12年間の活動の詳細が語られています。自費出版による「そのときどきに『私の』思いをこめて」も彼の思いを知る貴重な資料となっています。

まとめ

阿部三郎は、弁護士としての長いキャリアを通じて、社会の問題に対する意識を強め、実行に移すことで多くの人々に影響を与えました。彼の業績や思いは、今なお多くの人々の心に残っています。

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