阿部夏丸

阿部 夏丸

1960年生まれ、日本で活躍する作家。

愛知県豊田市に生まれ育ち、名古屋芸術大学を卒業後、幼稚園での絵画指導員や書店の店長など、多様な職務を経験しました。こうした経験が、後の創作活動に深みを与えていると考えられます。

作家としてのキャリアは、『泣けない魚たち』で華々しく始まりました。この作品は、第11回坪田譲治文学賞と第6回椋鳩十児童文学賞という、権威ある二つの文学賞を同時に受賞するという快挙を成し遂げました。また、『オタマジャクシのうんどうかい』では第6回ひろすけ童話賞を受賞するなど、早くからその才能が認められます。特に第二作にあたる『オグリの子』は、NHKによってテレビドラマ化され、広く注目を集めました。

阿部氏は、作品の中で一貫して川やそこに生きる子供たちの姿を生き生きと描いています。その根底にある揺るぎない自然観は多くの読者から支持されており、作品は中学校や高等学校の入試問題にもたびたび採用されるなど、教育分野でも高く評価されています。

執筆活動と並行して、多岐にわたる活動を展開しています。小学館のアウトドア雑誌「BE-PAL」では、自身が責任編集を務める「月刊雑魚釣りニュース」という企画を担当しました。また、自宅で絵画教室「オープンハウス」を主宰し、後進の指導にもあたっています。俳句愛好家でもあり、俳句結社「松籟」の同人として創作を続けています。さらに、全国各地で「川遊びのワークショップ」や講演会を数多く実施。大人から子供まで、彼の話に多くの人々が引きつけられるのは、その温かく親しみやすい人柄によるところが大きいと言われています。

生まれ故郷である矢作川への深い愛情を持ち、その魅力を伝えるために設立された矢作川水族館では館長を務めるなど、地域に根ざした活動にも力を注いでいます。

主な作品

『泣けない魚たち』（ブロンズ新社、1995年 / 講談社文庫）
坪田譲治文学賞、椋鳩十児童文学賞受賞
『オグリの子』（ブロンズ新社、1996年 / 講談社文庫）
NHK「ドラマ愛の詩」にてドラマ化
『見えない敵』（ブロンズ新社、1998年 / 講談社文庫）
『ライギョのきゅうしょく』（講談社、1999年）
課題図書
『カメをつって考えた』（旺文社、1999年）
『オオサンショウウオの夏』（佼成出版、2000年）
『ザリガニさいばん』（講談社、2001年）
『峰雲へ』（小学館、2001年）
『オタマジャクシのうんどうかい』（講談社、2002年）
ひろすけ童話賞受賞
『父のようにはなりたくない』（ブロンズ新社、2002年）
『かっぱ印川あそびブック』（ブロンズ新社、2003年）
『まるごと川あそび ようこそ! せせらぎ教室へ』（PHP研究所、2004年）
『タニシのがくげいかい』（講談社、2004年）
『カッパのごちそう』（童心社、2004年）
『カワウソがいる』（ポプラ社、2004年）
『うそつき大ちゃん』（ポプラ社、2005年）
課題図書
『ゆめみるダンゴムシ』（佼成出版社、2005年）
『森の地図』（ブロンズ新社、2005年）
『セミのたね』（講談社、2005年）
『メダカのえんそく』（講談社、2006年）
『波の白馬』（ブロンズ新社、2006年）
『レッツゴー! 川中WOW部』（講談社、青い鳥文庫、2006年）
『川中WOW部の夏休み』（講談社、青い鳥文庫、2007年）
『川中WOW部の釣りバトル』（講談社、青い鳥文庫、2008年）
『キンギョのてんこうせい』（講談社、2008年）
『つたえたいきもちは木にのぼっておさがしください』（講談社、2009年）
『ギャング･エイジ』（講談社、青い鳥文庫、2009年）

これらの作品を通じて、阿部夏丸氏は自然と人間の関わり、特に子供たちの成長を温かいまなざしで描き続け、多くの読者に感動を与えています。

関連項目

日本の小説家一覧
児童文学作家一覧

もう一度検索