阿閇神社

阿閇神社：歴史と伝統が息づく播磨の社

兵庫県加古郡播磨町に鎮座する阿閇神社は、古くから地域に深く根付いた歴史と伝統を誇る神社です。加古川市尾上町の尾上神社宮司が兼務しており、氏子地域は播磨町の複数の地区に加え、加古川市の一部地域にも広がっています。秋祭りなどの年中行事では、各地区の自治会が主体となって、盛大に祭りが執り行われます。

祀られる神々

阿閇神社では、住吉三神（底筒男命、中筒男命、表筒男命）と神功皇后（息長帯姫命）が祀られています。住吉三神は海の神として知られ、阿閇神社の祭神が住吉神であること、中世にこの地域が住吉大社の荘園であったこと、周辺に多くの住吉神社が点在することなどから、神社の成立は中世に遡ると推測されています。『住吉大社神代記』にも記されている賀胡郡阿閇津浜の中心地にあたるとも考えられています。阿閇荘は、現在の播磨町全域に加え、加古川市南東部の広い範囲に及んでいたと考えられています。

貴重な建築様式

阿閇神社の本殿は、1702年（元禄2年）に建立された、一間社春日造、檜皮葺の建築物です。特徴的なのは、同形同規模の本殿が南北方向に4棟並び、正面が廊橋で繋がっている点です。特に、4社が軒を接して一直線に並ぶ様式は、住吉大社を含め類例が少なく、兵庫県の指定文化財に指定されています。本殿が西向きに建てられている理由については、住吉大社と同じ方位であるという説や、中世播磨の支配者であった赤松氏の居城・白旗城の方角を向いているという説など、諸説があります。境内には、戦後の地域発展を祈念して勧請された阿閇恵美須神社や、稲荷神社も鎮座しています。

伝統を受け継ぐ年中行事

阿閇神社では、年間を通して様々な年中行事が行われています。

初詣（1月1日）: 新年最初の参拝で、新しい年の始まりを祝います。
十日戎（恵美須神社、1月9日・10日）: 氏子地域では、事前に費用を納めた家庭にはくじ引き券が配布され、参拝後にくじ引きで商品がもらえます。餅まきも盛大に行われ、多くの人々が訪れます。
* 秋祭り（10月23日近くの土日）: 明石市二見町の御厨神社と同日に開催されることが多いです。土曜日は各地区で子供みこしの運行や屋台の運行が行われ、日曜日は氏子たちが集まり、子供みこしの奉納や屋台、神輿の巡行が行われます。屋台は1台のみで、練り合わせはありませんが、江戸時代中期から続く歴史を持つ祭りです。古文書『阿閇神社秋祭絵巻』には、みこしや太鼓を担いだ人々が海に向かって列をなして巡行する様子が描かれています。

阿閇神社は、歴史と伝統を大切に守りながら、現代も地域住民の信仰の中心として、その役割を担い続けています。その歴史的価値と、地域社会との深い繋がりは、これからも大切に受け継がれていくことでしょう。

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