陶芸空間 虹の泉

陶芸空間 虹の泉

陶芸空間「虹の泉」（とうげいくうかん にじのいずみ）は、三重県松阪市に位置するユニークなアート庭園です。この庭園は、陶芸家の東健次（とうけんじ）が1978年から2013年にかけて手がけた作品であり、今までに5800㎡もの広大な面積にわたって数え切れない陶芸作品が配置されています。現在、虹の泉は東の妻と子供によって管理されています。

東健次と虹の泉の誕生

東健次は1938年に生まれ、愛知県立瀬戸窯業高校で陶芸を学びました。彼の人生における大きな転機は、24歳の時に訪れたスリランカで訪れた「シーギリヤの岩山」にあります。ここに描かれた女性の壁画や、ジャングルでの10日間の滞在が彼に多大なインスピレーションを与え、この経験が後の「虹の泉」の構想に繋がりました。彼は故郷の三重県に戻り、自ら工房や窯を設け、山林を切り開いてこの夢の実現に取り掛かりました。

「虹の泉」の制作は、地方自治体からの援助を受けることなく、地域の支援や見学者からの入場料、有料での陶板作成を通じて進められました。東は、その35年間の人生をこのプロジェクトに捧げ、他の職業を持たずに制作活動に没頭しました。彼の情熱が詰まったアート庭園には、男女や雲を象った無数の陶芸作品が並び、訪れる人々に独自の世界観を提供しています。

虹の泉の特色

虹の泉の中で特に目を引くのは、正面にそびえ立つ巨大な壁であり、そこには2000枚以上の陶板が用いられて壁画が描かれています。これらの陶板ひとつひとつには、東の思いが込められていますが、彼自身はすでに亡くなったため、その真意を知る者はいません。しかし、一般的には制作が未完成であるとされています。この不完全さが逆に、多くの人々を引き寄せているのかもしれません。

虹の泉を訪れることは、ただの観光体験ではなく、東健次が残した陶芸の芸術性や彼の人生を感じることができる貴重な機会です。本来の目的であった「虹の泉」の完成には至らなかったものの、その中に漂うアートの持つ力や、作品が語る物語を楽しむことができるのです。

体験と今後

現在、虹の泉は多くの訪問者を歓迎しており、その中にはアート愛好者や興味を持つ観光客が多数います。彼の作品を間近で観察し、感じることで、陶芸の魅力を再確認することができるでしょう。また、希望する人には、有料で自ら陶板を作成し、イリスの壁と呼ばれる場所に貼り付ける体験も提供されています。これにより、訪れた人々も虹の泉の一部になれるのです。

おわりに

「虹の泉」は陶芸作品の集まりであるだけでなく、東健次という一人のアーティストの情熱と夢の結晶です。このユニークな庭園を訪れることで、彼が追い求めたアートの本質に触れ、心を豊かにする体験ができることでしょう。

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