陸海軍刑法ノ適用ニ関スル法律

陸海軍刑法ノ適用ニ関スル法律の概要

概要

「陸海軍刑法ノ適用ニ関スル法律」は、1895年4月2日に公布された日本の法律で、陸軍刑法と海軍刑法に特例を設けたものです。本法では、陸軍および海軍の兵士が他方の軍の勤務に服する際の刑罰の適用について、特に規定を設けています。これは、陸海軍が協力して行動する事例が増えた時代に求められた措置でした。

背景と立法趣旨

1872年に初めての陸海軍刑律が策定され、その後1881年に陸軍刑法、海軍刑法として独自に成立しました。しかし、長い間、陸海軍が共同で行動する機会はあまりなく、法律も各軍で異なる運用がされていました。日清戦争などを契機に、陸海軍が共同で行動することが増えたため、他軍の軍人を処罰できない現行の法律では問題が生じる恐れがありました。

このような環境において、相互に軍務を行う陸海軍に対する適切な法律が必要とされ、特に両軍の兵士が同一の任務に従事する場合でも処罰の混乱を避けることを目的として、本法が制定されました。

構成

本法は全3条から成り立ち、以下のような内容が含まれています。

第1条

第1条では、陸軍軍人が海軍での勤務やその逆を行う場合、互いの軍法を適用可能とする趣旨を記されています。この条項によって、陸軍軍人が海軍に勤務し、海軍の法律に従った場合でも、その行為に対して同等に処罰が行えるようになります。

第2条

第2条は、同一の行為に対して両軍の法律が適用される場合に二重処罰を避ける方法を定めています。具体的には、陸軍軍人が行った場合は陸軍刑法を、海軍軍人が行った場合は海軍刑法を適用することとしています。

第3条

第3条では、法律の適用対象者の範囲を明確にすることが定められています。具体的には、軍人としての範囲を明確にし、将校や軍属、さらには軍務を補助する者までを含めて解釈されます。

制定過程

本法は、陸軍および海軍の大臣の建議を基にして法案が提出され、帝国議会において可決されました。法律が成立する過程は、衆議院と貴族院の双方での審査を経て、1895年3月に可決され、同年4月2日に正式に公布されました。

実効性の喪失

本法は1947年に陸軍刑法と海軍刑法が廃止されたことに伴い、その実効性を失いました。本法は新しい法律に吸収される形で自然に廃止されることとなりました。

まとめ

「陸海軍刑法ノ適用ニ関スル法律」は、近代軍法を整備する中で非常に重要な役割を果たしました。陸軍と海軍が共同で行動する際の法的基盤を提供し、国家の安全や軍内の秩序を守るための特例として策定されたことがこの法律の意義です。

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