陸軍大臣 (イギリス)

陸軍大臣について

陸軍大臣（りくぐんだいじん、英: Secretary of State for War）は、1794年に設立されたイギリスの閣僚職であり、軍事政策と国防に関わる重要な役割を担っていました。この職務はフランス革命戦争を背景に陸軍省を統括するために創設されたもので、当初は陸軍卿（Secretary at War）から権限を引き継ぐ形で設立されました。

歴史的背景

陸軍大臣の設立は、イギリスが直面していた軍事的な脅威や外部の戦争への対応が必要とされていた時期に行われました。1801年には、植民地の軍事管理を強化するために、陸軍大臣と植民地大臣が統合され、陸軍・植民地大臣として機能することとなりました。この変化により、国政における陸軍大臣の重要性が高まりました。

19世紀中盤にはクリミア戦争が勃発し、軍の運営において効率性が欠如していることが明らかになりました。このため、陸軍・植民地省の改革が盛んに議論されるようになり、1854年には再度、植民地省が陸軍省から分離され、各省庁が独自に運営されることとなりました。

1855年には陸軍卿と陸軍大臣が同一人物によって兼任されることが決定され、1863年には陸軍卿職が廃止されました。この時期には、エドワード・カードウェルが陸軍大臣を務め、陸軍の行政業務が陸軍省によって整理され、効率化が促されました。

権限と組織の変遷

しかし、陸軍の指令に関しては依然として陸軍総司令官がその権限を握っており、この職には多くの王族が就任していたため、改革は進みにくい状況が続きました。1895年には陸軍総司令官として長年君臨していたケンブリッジ公ジョージの辞職が改革の契機となり、陸軍大臣の権限が拡大され、軍務評議会（War Office Council）が新設されました。

その後、1904年には軍務評議会と陸軍局（Army Board）が統合され、陸軍本部（Army Council）として陸軍大臣の下に位置づけられました。また、陸軍総司令官職は陸軍参謀総長に改組され、より専門的な軍事運営が求められるようになりました。

陸軍大臣の終焉

1964年には大規模な軍事機構の改革が実施され、陸海空軍を統括する国防省が設立されました。これに伴い、陸軍大臣や陸軍省、陸軍本部は廃止されました。この改革により、旧陸軍省は国防省の陸軍部として再編成され、現在に至っています。

陸軍大臣の一覧

• - 陸軍大臣（1794年–1801年）
• - 陸軍・植民地大臣（1801年–1854年）
• - 陸軍大臣（1854年-1964年）

このように、陸軍大臣はイギリスにおける軍事政策の発展や変革に大きく寄与した重要な役職であり、長い歴史の中で多くの改革と挑戦を経て、最終的に廃止に至ったのです。

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