陸軍航空工廠

陸軍航空工廠について

陸軍航空工廠（りくぐんこうくうこうしょう）は、大日本帝国陸軍の航空機に関連する唯一の製造拠点として、1939年から1945年まで活動しました。主な目的は、航空機用の発動機の製造と航空機の設計、試作、製造でした。

設立の背景

陸軍航空工廠のルーツは、1913年にさかのぼります。当時、陸軍はフランス製飛行機の発動機の修理を行い、それが東京砲兵工廠で始まりました。その後、1917年には機体関連の業務が名古屋に移り、1920年には名古屋機器製造所が設立され、発動機の製造がスタートします。

しかし、当時は民間企業が主導していたため、海軍に対して、陸軍も独自の製造設備を整える必要性が高まりました。このような背景のもと、1928年から陸軍内での飛行機製造の機運が高まり、1939年には名古屋工廠立川兵器製造所が設立されるに至ります。

陸軍航空工廠の公式発足

1940年4月1日、陸軍航空工廠令が発令され、正式に陸軍航空工廠が設立されました。その後、工廠内での移転や集約が続き、同年の6月と9月に飛行機製造所および発動機製造所の移転が完了しました。開廠式典は10月に行われ、航空機製造業務が本格的に始動します。

工廠の運営と発展

工廠の設立時には、年間生産量として中型機体200機、大型発動機300機、プロペラ100本を目指すという高い目標が立てられました。1941年には、部品生産を担う第一工場、翼や胴体の生産を行う第二工場が設立され、さらに組立工場である第三工場も完成しました。これにより、工廠の設立目的である試作・製造機能が実現しました。

工廠内では、厳しい作業環境の改善も進められ、冬場の寒さ対策として床暖房が導入されました。これによって生産効率が向上し、作業員からも好評を得ることができました。

当初は九九式襲撃機やハ26の量産が中心でしたが、戦況の変化に伴い、戦訓改修が優先されるようになりました。また、陸軍航空技術研究所からの依頼で試作も行われました。

疎開と終戦

1944年7月からは空襲に備えた疎開が始まり、秋には工場の一部が各地に分散されました。生産を継続していた九九式襲撃機の製造が行われましたが、敗戦は間近に迫っていました。1945年8月15日、敗戦により工廠は活動を停止し、進駐軍（米軍）に接収されました。

その後、工場は洗濯工場に転用され、1979年には返還が行われました。陸軍航空工廠があった立川市エリアは、今ではその歴史を語る場所として残されています。

まとめ

陸軍航空工廠は、大日本帝国陸軍の航空機製造の中心的存在として、多くの技術や人材を集約し、重要な役割を果たしました。その歴史は、工事に従事した人々の努力の積み重ねや、国家の動向に大きく影響を受けたものでした。

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