陽炎 (東雲型駆逐艦)

陽炎 (初代) 駆逐艦の概要

陽炎（かげろう、またはかげろふ）は、かつて存在した大日本帝国海軍の駆逐艦であり、東雲型駆逐艦の5番艦です。同様の名前の陽炎型駆逐艦もありますが、こちらの艦は「陽炎 (初代)」や「陽炎I」として区別されます。

艦歴と主な活動

陽炎の発注当初の艦名は「第九号水雷艇駆逐艇」で、1899年10月31日にイギリス、ソーニクロフト社において竣工しました。駆逐艦としての役割を持ち、1900年3月14日に佐世保に到着後、6月22日に軍艦として編入され、正式に駆逐艦に分類されました。

艦はその後、様々な戦争に参加しました。1900年、中国で起こった北清事変に加わり、1904年の日露戦争が勃発すると第2艦隊第5駆逐隊に配属されました。主な戦闘には、旅順口攻撃、黄海海戦、日本海海戦、さらに樺太の戦いが含まれています。特筆すべきは1905年5月28日、僚艦の漣と共にロシアの駆逐艦「ベドーヴイ」を拿捕し、その結果、バルチック艦隊司令長官ロジェストヴェンスキー中将を捕虜にしたことです。

1905年12月12日には駆逐艦としての種別が変更され、1912年には三等駆逐艦に分類されました。1914年には青島での戦いに参加し、艦の運用価値を発揮しました。その後、陽炎は1922年4月1日に雑役船（曳船兼交通船）に編入され、1924年10月8日に廃船が認可されました。

艦長の歴史

艦の指揮を執った艦長の履歴には、以下のような人物が名を連ねています。

• - 岩村団次郎 少佐（回航委員長、1899年2月14日 - ）
• - 桜井吉丸 大尉（1900年6月22日 - 1900年9月25日）
• - 堀内権三郎 少佐（1900年9月25日 - 1901年9月10日）
• - 武部岸郎 少佐（1901年9月10日 - 1903年4月30日）
• - 井手篤行 大尉（1903年4月30日 - ）など。

その後も多くの艦長が交代で就任し、艦の運行を見守りました。その中には、1917年以降、河原忠蔵 大尉や今泉美啓 大尉なども含まれています。最終的には、1930年代に入ってから雑役船に改編されるまで、艦は多くの歴史を持つ艦長により指揮されました。

参考文献と資料

陽炎に関する詳細な記述は、多数の文献に見られます。海軍省が編纂した『海軍制度沿革 巻八』や、海軍歴史保存会による『日本海軍史』第7巻、第9巻、第10巻は、艦に関する貴重な情報源です。また、片桐大自著の『聯合艦隊軍艦銘銘伝』や、『写真日本海軍全艦艇史 Fukui Shizuo Collection』なども、戦史や艦の運用に関する貴重な資料を提供しています。

このように陽炎は、数々の歴戦を経て、日本海軍の駆逐艦としての役割をしっかりと果たした艦艇であり、今日でも多くの歴史愛好家や軍艦ファンの間で語り継がれています。

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