隔螺式

隔螺式（かくらしき）

隔螺式（かくらしき、段隔螺式、interrupted screwまたはinterrupted thread）は、主に後装砲の尾栓に使用される閉鎖機構で、1845年前後に発明されました。

概要

隔螺式は、ねじ山の一部を意図的に削除した特殊なねじ構造を持つことが特徴です。この構造により、尾栓を砲身後部に押し込み、わずかに回転させるだけで強固な閉鎖を実現します。金属薬莢が普及する以前の後装砲において、その有用性が高く評価され、現在でも薬嚢（やくのう）を使用する大砲に広く用いられています。

原理

隔螺式の断面形状は、大砲の薬室側の穴と正確に合致するように設計されています。尾栓にねじ山がある部分と、薬室側にねじ山がある部分が交互に配置されているのが特徴です。この独特な形状により、尾栓をスムーズに押し込むことが可能となり、約6分の1回転させるだけで、尾栓が砲に強固に締め付けられ、砲の後部を確実に閉鎖することができます。初期の後装砲では鎖栓が使用されていましたが、隔螺式の登場により、より迅速かつ確実な閉鎖が可能となりました。

尾栓の閉鎖機構としては、1872年にド・バンジュ式緊塞方式が開発され、より優れた閉鎖性能を発揮しましたが、隔螺式も依然として多くの大砲で使用され続けています。

段隔螺式

初期の隔螺式尾栓には、尾栓の半周にしかねじ山を設けることができないという課題がありました。十分な閉鎖効果を得るためには、尾栓を長く（ねじ山の段数を多く）する必要がありましたが、これは構造上の制約となっていました。この問題を解決するために、1890年に階段断隔螺式（段隔螺式、stepped and interrupted thread）であるウェリン式尾栓（Welin breech block）が開発されました。

ウェリン式尾栓では、ねじ径が段階的に大きくなるように設計されています。例えば、ねじ径を4段階にすることで、尾栓の円周の5分の4にねじ山を設けることが可能となり、尾栓の長さを短縮することができました。この革新的な設計は、現在でも薬嚢を使用する大砲に採用されており、その有用性が証明されています。

脚注

[Bryan Bunch and Alexander Hellemans: The History of Science and Technology: A Browser's Guide to the Great Discoveries, Inventions, and the People Who MadeThem from the Dawn of Time to Today, Houghton Mifflin Harcourt; First Edition edition (April 16, 2004), ISBN 978-0618221233]

関連項目

尾栓
大砲
アームストロング砲
レフィエ75mm砲
レフィエ85mm砲
ライトール95mm砲
シャルル・ラゴン・ド・バンジュ
ド・バンジュ90mm砲
Welin breech block

外部リンク

Interrupted screw breech mechanisms
* Navweaps.com Interrupted threads used on naval guns

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