障害者基本法

障害者基本法：自立と社会参加への道筋

障害者基本法は、障害を持つ人々の自立と社会参加を支援するための日本の法律です。1970年（昭和45年）に制定され、その後、2004年と2011年に大きな改正が行われています。この法律は、障害を持つ人々の福祉増進を目的とし、国や地方公共団体に様々な役割を課しています。

法律の目的と基本理念

障害者基本法の根底には、障害を持つ人々一人ひとりが、尊厳を保ち、社会の一員として活躍できる社会の実現という強い理念があります。この法律は、障害を持つ人々が直面する様々な課題に対し、包括的な支援策を講じるための枠組みを提供しています。具体的には、自立と社会参加を促進するための施策の推進、計画の策定、関係機関の責務の明確化などが盛り込まれています。

重要な改正点

2004年（平成16年）の改正では、法律の目的や障害者の定義、基本理念などが大幅に見直されました。特に重要なのは、差別禁止規定の明記です。この改正によって、「障害を理由とする差別や権利利益の侵害は許されない」ことが法律で明確に謳われるようになりました。

2011年（平成23年）の改正では、国際連合の障害者権利条約の批准を踏まえ、障害者の定義が拡大されました。従来の身体障害、知的障害、精神障害に加え、「発達障害その他の心身の機能の障害」も含まれるようになりました。また、「合理的配慮」の概念が導入され、障害を持つ人が社会参加をする上で必要となる配慮が義務付けられました。

法律の構成と主要な項目

障害者基本法は、大きく分けて４つの章で構成されています。

第一章 総則: 法律の目的、障害者の定義、基本理念などが定められています。
第二章 障害者の自立及び社会参加の支援等のための基本的施策: 障害者支援の具体的な施策について規定されています。教育、就労、生活環境整備など、多岐にわたる分野を網羅しています。
第三章 障害の原因となる傷病の予防に関する基本的施策: 障害の予防に関する施策を推進するための規定です。
第四章 障害者政策委員会等: 障害者施策に関する審議や意見具申を行う障害者政策委員会の役割などが定められています。

関係機関と連携

障害者基本法の施行に当たっては、内閣府、厚生労働省、文部科学省など、複数の省庁が連携して取り組みます。特に、内閣府に設置された障害者政策委員会は、計画の策定や変更に関する重要な役割を担っています。

関連法令

障害者基本法と関連性の高い法律として、以下のようなものがあります。

障害者総合支援法
障害者虐待防止法
障害者差別解消法
障害者雇用促進法

これらの法律は、障害者基本法の理念に基づき、具体的な支援策や制度を規定しています。

社会への影響

障害者基本法は、障害を持つ人々の社会参加を促進し、インクルーシブな社会の実現に向けて大きな役割を果たしています。しかし、法律の理念が社会全体に浸透し、障害を持つ人々が真に自立した生活を送れるためには、継続的な努力と社会全体の意識改革が不可欠です。今後とも、障害を持つ人々の権利擁護と社会参加促進に向けた取り組みが重要になります。

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