隠しトラック

隠しトラック：音楽作品に隠されたサプライズ

隠しトラックとは、音楽CDやDVD、ゲームソフトなどに収録されている、公式クレジットに記載されていないボーナス・トラックのことです。別名「シークレットトラック」「ヒドゥン・トラック」などと呼ばれ、購入者やファンへのサプライズとして制作されています。 近年では、コンピュータでのアクセスが容易になったことで、イースターエッグの一種として認識されることも多くなりました。

隠しトラックの目的と種類

隠しトラックは、主に購入者への感謝の気持ちや、作品への愛着を高めるためのサービスとして存在します。事前に告知される場合もありますが、多くの場合は作品を再生してみないとその存在に気付かないため、発見した際の喜びは格別です。

音楽トラックだけでなく、ジャケット写真や特典映像といったデータも隠しトラックとして収録される場合があります。ゲームソフトにおいては、ゲームデータとは別にオーディオトラックが収録され、再生に関する警告メッセージなどが含まれていることもあります。 映像作品では、本編の再生中に特定のコマンドを入力したり、メニュー画面で特別な操作を行うことで、イースターエッグ的な特典映像が再生される仕組みも存在します。

著名な隠しトラックの例

ビートルズの『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』に収録された「Sgt. Pepper Inner Groove」や、『The Beatles』に収録された「Can You Take Me Back」などは、初期の有名な隠しトラックの例として挙げられます。「Her Majesty」は、『Abbey Road』では当初隠しトラックとして扱われましたが、CD化の際に正式にクレジットされました。日本のロックバンドBUMP OF CHICKEN|BUMP_OF_CHICKENは、多くの作品に隠しトラックを収録することで知られています。

隠しトラックの収録方法

隠しトラックの収録方法は主に2種類あります。1つは最終曲の後に収録する方法、もう1つは1曲目の前に収録する方法です。

最終曲の後への収録では、最終曲の直後に新たなトラックを配置する方法と、数十秒～数分の無音部分を挟んで配置する方法があります。無音トラックを複数挟む場合もあります。稀に、最終曲以外、例えばアルバム中盤の曲の後に無音部分を挟んで収録されている場合もあります。

1曲目の前に収録する場合は、曲間のギャップを利用します。CDでは、次の曲が途切れないように数秒の空き（ギャップ）がデータとして書き込まれていますが、1曲目には通常ギャップは不要です。このギャップを利用して、1曲目よりも前にトラックを配置することで、通常の再生では再生されないように隠すことができます。この方法は「マイナストラック」と呼ばれることもあります。

ギャップを利用した隠しトラックは、巻き戻し機能を使って再生できる場合がありますが、全てのCDプレーヤーで再生できるわけではありません。また、一般的な音楽ソフトウェアでは取り込めない場合もあり、専用のソフトウェアが必要となる場合があります。Exact Audio Copyなどのソフトウェアは、隠しトラックの読み込みと書き込みに対応しています。

隠しトラックの曲名

隠しトラックの曲名は、ジャケットや歌詞カードには記載されないのが一般的です。そのため、曲名不明の隠しトラックも存在します。しかし、日本のメジャーアーティストの場合、楽曲管理会社への申請が必要なため、正式な曲名は必ず存在します。

まとめ

隠しトラックは、音楽作品に隠された小さなサプライズであり、ファンにとって特別な楽しみの一つです。その収録方法や発見方法には様々な工夫が凝らされており、音楽制作におけるクリエイターの遊び心を感じることができます。 今後も、音楽作品の中に隠された、新たな発見が待っていることでしょう。

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