雀野日名子

雀野日名子（すずめの ひなこ）は、1975年生まれの日本のホラー・怪談作家です。石川県で生まれ、福井県と大阪府で育ちました。福井県立高志高等学校、大阪外国語大学（現在の大阪大学外国語学部）を卒業後、東京都在住で活動しています。

2006年に「機械じかけのアン・シャーリィ」でジャイブ小説大賞に入選したのを皮切りに、2007年には「あちん」で『幽』怪談文学賞短編部門大賞を受賞し、2008年に同作でデビューしました。さらに同年、「トンコ」で第15回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞するなど、数々の文学賞を受賞しています。選考委員の林真理子氏からは、「トンコ」は純文学雑誌でも高く評価されるだろうと評されました。

雀野氏は、2009年に第10回げんでん芸術新人賞、2013年には福井県文化奨励賞も受賞しています。近年では、「報道されない（できない）現実を目にすることが増えるばかりで、諸規制のある小説では書けない、でも知ってほしい」との思いから、別名義でのネット執筆活動も行っています（別名義は共同作業者の意向により非公表）。小説企画に協力する際には旧筆名を使用することがあります。

人物像

趣味はクロスバイクで、日本テディベア協会とジャパンテディベア協会の会員でもあります。年間300本程度の映画を鑑賞するほどの映画好きで、特に新旧のミニシアター系作品やB級Z級作品を好みます。デビュー作「あちん」が福井県を舞台にした作品であったことから、2008年には福井ブランド大使に任命されました。「トンコ」は2009年度1月号の「ダ・ヴィンチ」で絶対はずさないプラチナ本に選ばれるなど、高い評価を得ています。

小説家になった際には、父親から「物書き稼業で親を養えるのか」と激しく叱責された経験も持っています。ホラー・怪談作家でありながら、怖いものが苦手であるという一面も持っており、その点を意識しながら、ホラーや怪談が苦手な読者にも楽しんでもらえるような作品を執筆しています。福井県を題材とした作品が多い一方で、「表向きユートピアを装っているディストピア」として批判的な視点から描くこともあります。デビュー以来、一貫して「不安」をテーマに物語を書き続けており、私たちの生活を取り巻く不安や葛藤の核にあるものを追求しています。

著書

単著

あちん（2008年5月、幽ブックス / 2013年6月、MF文庫ダ・ヴィンチ）
トンコ（2008年10月、角川ホラー文庫）
チャリオ（2009年9月、角川ホラー文庫）
太陽おばば（2011年2月、双葉社 / 2013年12月、双葉文庫）
山本くんの怪難 北陸魔境勤労記（2011年2月、MF文庫ダ・ヴィンチ）
終末の鳥人間（2012年7月、光文社 / 2015年10月、光文社文庫）
幸せすぎるおんなたち（2013年8月、講談社）
週末の鳥人間（2015年11月、光文社）
笑う赤おに（2016年2月、双葉社）
かぐや姫、物語を書きかえろ (2021年11月、The Appleseed Agency Ltd.企画・河出書房新社)

共著

怪談列島ニッポン 書き下ろし諸国奇談競作集（2009年2月、MF文庫ダ・ヴィンチ） 「きたぐに母子歌」
きみが見つける物語 こわ～い話編（2009年8月、角川文庫） 「そんび団地」
怪しき我が家 家の怪談競作集（2011年2月、MF文庫ダ・ヴィンチ） 「母とクロチョロ」
異形コレクション 物語のルミナリエ（2011年12月、光文社文庫） 「下魚」
怪獣文藝（2013年3月、幽ブックス） 「中古獣カラゴラン」
本をめぐる物語 栞は夢を見る（2014年3月、角川文庫） 「僕たちの焚書まつり」
異形コレクション 秘密（2021年6月、光文社文庫） 「生簀の女王」
日本ホラー小説大賞《短編賞》集成2 (角川ホラー文庫)

海外翻訳された著書

あちん อาจิณ（LUCKPIM PUBLISHING CO.,LTD）

ノベライズ

シャッター (メディアファクトリー)
ローカル線ガールズ（メディアファクトリー・取材原稿化）※別筆名
パパにさよならできるまで (メディアファクトリー)※別筆名

単行本未収録作品

* 「枕木嘔吐」（新潮社「小説新潮」・新潮ケータイ文庫DXにて配信）

雀野日名子の作品は、日常に潜む不安や恐怖を巧みに描き出し、読者に深い印象を与え続けています。

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