雄飛 (飛行船)

雄飛（ゆうひ）

雄飛は、大日本帝国陸軍のために製造された軍用の飛行船です。この特異な航空機は、初めは1912年にドイツから輸入された飛行船「バルセヴァル」（Walserwald）として知られていましたが、2013年に改修と改名が行われ、正式に「雄飛」として運用されるようになりました。

構造と性能

雄飛の製造は1915年に始まり、その際には特に気嚢の設計に工夫が施されました。気嚢は羽二重の三重および綿布一重で構成されており、内部には二つの空気房が設けられ、これによって飛行の安定性が確保されています。また、送風機を備えているため、気嚢内の空気の流れを調整することが可能です。さらに、吊籠は鋼管製で、操縦席や推進装置も備えられており、強度と機能性を両立しています。

鰭は鋼管製の枠に布を張った構造となっており、これにより運行中の気嚢の動揺を抑制する役割も果たします。これらの設計によって、雄飛は当時の技術としては画期的な飛行機として評価されました。

試験飛行

雄飛は1916年1月22日に、所沢から大阪までの試験飛行を実施しました。この飛行では途中、豊橋に着陸を行い、総所要時間は11時間34分を記録しました。帰路は残念ながら機関の不調により実施できず、機体は分解して陸路で輸送されることとなりました。この試験飛行の意義は大きく、後にこの日が「飛行船の日」として記念されることになりました。

現在の雄飛

本機が製造された埼玉県の所沢市では、雄飛を記念した焼き菓子「雄飛焼」が販売されています。この焼き菓子は、飛行船の名を冠しており、地域の文化と歴史を反映した品として親しまれています。

参考文献

雄飛の歴史や技術的な詳細に関しては、秋本実著の『日本飛行船物語 - 航空界の特異な航跡を辿る』を参照することをおすすめします。この書籍では、日本の航空史についての深い知見が得られるでしょう。雄飛の存在は、当時の航空技術の発展を象徴するものであり、日本の航空史においても特異な位置を占めています。

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